ハーメルン
転生したらTSして翼生えてて、おまけに実験体だった
1話 転生したらハードモードだった
〇月×日
心の中を整理するため、今日から日記をつけてみようと思う。
実は今、生まれて初めて“異世界転生”というものを体験している。
崖から落ちて死んだと思った直後、気付けば俺は、見知らぬ部屋の中で一人立ち尽くしていたのだ。
『なぜか幼女の姿になって、背中には天使の翼が生えている』という謎の状態で……。鏡を見て銀髪有翼美少女が映ったときは死ぬほど驚いたよ。
……とはいえ、なってしまったものは仕方ない。
『二度目の人生を貰えたと思えば、ある意味ラッキーと言えるのでは?』――なんて考えながら、当初は楽観的に構えていたのだ。
――そこが“怪しい研究所”の一室で……、
――自分が“実験体の少女”だと分かるまでは……。
『ではこれより、第一回戦闘実験を開始する! シルバーデビルを放て!』
『はっ!』
「グルルルルゥ!」
「キシャアアアッ!」
気付けば俺は猛獣の群れに囲まれ、頭上では白衣の連中がジーっとこっちを観察していた。
……ちょっと心の整理が必要だった。
〇月△日
前回書き忘れていたので自己紹介を。
今生での俺の名前は『ルミナ』、外見は五歳くらいの銀髪美少女(翼付き)です。
目覚めてからずっと過酷な戦いを強要され続けていますが、今日もなんとかギリギリ生きてます。……ああ、命があるって素晴らしい。
転生直後に猛獣と戦闘、自分は丸腰の幼女(実験体)とか、どんなナイトメアモードだよ……。
幸い身体がハイスペック(素手で猛獣と戦える、空も飛べる)なおかげでなんとかなってるけど、中身がクソ雑魚一般人なのでメンタルの方が割と限界です。
あああ゛あ゛、殺し合いはもうイヤじゃあああ!
――なんて叫んでいたら、今日の仕事は戦闘じゃなくて座学になった。やったぜ。
正直勉強なんて嫌いなんだけど、地獄のようなこの生活だとまるで天国のようにも感じられる。
よーし、これを機に心を入れ替えて、真面目に授業頑張るぞ!
……。
…………。
………………。
“効率的な首の折り方”の授業だった……。
いつか絶対、ここを逃げ出すことを誓った。
〇月◇日
手から炎が出た。
いや、冗談でも妄想でもない。
研究員から“ギラ”だの“イオ”だの書かれた紙を渡され、言われるままに唱えてみたら本当に火の玉が出てきたのだ。
どうやらこれは“魔法”というものらしく、この世界では一般的に広まっている技術らしい。人間が魔物(※俺が戦わされている猛獣たち)と戦うために編み出した超常の力であり、一流の魔法使いともなれば山一つ吹き飛ばすことも可能なんだとか。
…………正直に言おう。
めっっちゃテンション上がった。
両手で丸めた炎を『はああーー!』ってやって、時間いっぱい遊びまくった。
手から必殺技を出すロマン、男の子ならみんな分かってくれるよね?
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