ハーメルン
何やっても世界が滅亡するクソゲーに悪役令嬢として転生したけど、しぶとく生き残ってやりますわ!
悪役令嬢には必殺技が存在する

「せっかくのお話なのに、断っちゃうの?」
「すごくいい話なんだぞ?」
「名声に目がないお前が王家との縁談を断るなんて、天変地異の前触れか?」

 おい家族。
 特に最後の兄。妹に対するコメントとして酷すぎないか。
 というツッコミはおいておいて。

 そうか、今までのリリアーナの行動を考えると、縁談を断るのは不自然なのか。

 今の私は、リリアーナと小夜子が入り混じった別人格だ。
 だから、リリアーナの行動を俯瞰してみることができるし、貴族の常識とは違う目線で物を見ることができる。
 でも、たとえリリアーナを救うための選択であっても、いつもと全く違った言動をとれば、家族が大きな違和感を覚えてしまう。

 えーと、えーと。
 リリアーナらしく、かつお断りできる言い訳を考えなくちゃ。

「えっと……お父様、お母様。その婚約のお話、王妃様と宰相閣下が言ってきたことなんだよね?」
「ああ、そうだ」
「ということは、王子様や、フランドール様が、私と結婚したいって言ってくれたわけじゃないのよね? そんなのヤだ!!
 私は素敵な旦那様に愛されて花嫁になりたいの! 本人が花束を持って結婚を申し込んでくれるんじゃなきゃダメよ!」

 秘技! お花畑《ロマンティック》思考!!

 利害関係がからむ高位貴族は政略結婚が一般的だ。
 でも、私はまだ10歳の箱入り娘。結婚に夢を持ってたっておかしくないはず!
 お姫様の絵本大好きな子だし!

 宣言すると、両親はアラアラというほほえましい表情になり、兄は心底呆れかえった顔になった。違和感払拭したのはいいけど、そのたびに兄からの好感度が下がるこのシステムどうにかならんかな。

「じゃあ、結婚のお話はどちらもお断りしておきましょうねえ」

 母様はおっとりと笑う。

「俺もそうしたほうがいいと思いますが、王妃様からのお話もありますよね? 断っていいんですか?」
「大丈夫よ、どちらのお話もまだ内内の『相談』の段階だから」
「私たち家族以外は知らない話だ。断っても、どこにも影響は出ない」

 おお、ちゃんと断りやすいよう気を遣った提案だったのね。

「子供のころの婚約話はだいたいこんなものよ」
「たとえ今婚約したとしても、大人になるまでの間に相性が合わなくなったり、家同士の関係が変わったりするからなあ」
「だから、あくまでも『結婚の約束』なのよね。未成年の婚約は、破棄されやすいの」

 へー、そういうものか。
 おっとりお花畑な人たちだと思ってたけど、一応いろいろ考えてはいたんだな。

「だから、リリアーナは安心して自分の思う通りにしていいのよ」
「母様、そこは少しは止めてください」
「いいじゃない。子供はのびのびと育つべきだわ。もちろんアルヴィン、あなたも」
「コイツはのびのびというレベルじゃないだろ……」

 いやそこはこれから改めますから。
 と言っても信用してもらえないんだろうなあ。でも、がんばるという姿勢は示しておかないといけないね。

「私、素敵な方に求婚されるような、立派な淑女になってみせるわ」
「えらいぞ、リリアーナ」
「……具体的には?」

 手放しでほめる父様の後に、兄の低い声が続いた。

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