ハーメルン
Fate/GRAND Zi-Order ーRemnant of Chronicleー
暴走赤カブト2006


「……!」

 常磐ソウゴ以外からの攻撃など、と。
 そう思考していたアナザーウィザードの動きが止まる。
 回転していた彼の周囲を覆うのは、レモン型のエネルギー。
 彼自身がミキサーとなり果肉を削り、レモンから撒き散らされる黄色い果汁。
 炎が果汁に消し止められ、更に回転の勢いもレモンの中で停止する。

「ち、ぃ……ッ!」

 レモン状のエネルギー体の中で、拘束されるアナザーウィザード。
 彼がそこから脱出する事を目的とし、別の魔法を使おうとして。
 意識を逸らした、その刹那。

〈ウィザード! スクランブルタイムブレーク!!〉

「ハァ―――ッ!」

 ヘイセイバーの一振りでもって四色、四属性の剣閃が放たれた。
 火、水、風、土。それぞれが三日月を描き、魔法の刃となって動きを止めた怪人を強襲する。
 それは威力、そして相性。
 どこをとってもアナザーウィザードを粉砕するに足る一撃であり―――

「フン」

〈ギガンティックギンガ!!〉

 戦場を眺めていたギンガが、残っていたその力の全てを解放する。
 彼の前方に形成される、宇宙の力を押し固めた破壊球。
 それを掌で押し込むと同時、ギンガの鎧が消失する。
 紛れもなく、完全に力を一滴残らず使い切ったが故の変身解除。

 そうして顔を顰めるスウォルツの前。
 ヘイセイバーの斬撃と、ギガンティックギンガが衝突する。

 威力が足らず、そのまま弾き飛ばされる銀河の光。
 ジオウの攻撃から多少勢いを削ったそれが、軌道を逸らして街の彼方へと消えていく。

 軽減されても直進する四つの刃はアナザーウィザードを直撃。
 彼を拘束するレモンエナジーごと、その威力で以て吹き飛ばす。
 致命傷ばかりは避けられたのか、そのまま地面に転がるアナザーウィザード。

「ぐ、ぁ……! ぐぅううう……! あぁあああああッ!!」

 アナザーウィザードが拳を握り、地面を叩く。
 口惜しい、と。認められない、と。
 そんな感情のまま叩きつけた拳が、荒れ果てたアスファルトを粉砕した。

「…………あんた」

「いい加減に退き時だ。その身でとくと味わっただろう?
 改めて言ってやる―――勝ちたいなら俺の言葉に従え、加古川飛流」

 地面を叩くアナザーウィザードの背に、スウォルツの手が突き刺さる。
 怪人の体に沈んだ手が引き抜かれると、そこにはアナザーウォッチが握られている。
 言うまでもなく、アナザーウィザードのものだろうそれ。
 それを奪われた怪人の姿が、人間のものに戻っていく。

 ソウゴの同年代程度の、少年。
 彼が這いつくばりながらも顔を上げ、ジオウを睨み据える。

「加古川、飛流……」

「―――そうだ、それが俺の名前だ。覚えておけ、常磐ソウゴ……!
 俺とお前の運命は交差した。俺たちの戦いは、どちらかが滅びるまで終わらない……ッ!」

 震えながら立ち上がる飛流の背後で、スウォルツが握ったウォッチを起動する。

〈ウィザードォ…!〉

「何を―――!」

 彼はそのまま起動したウォッチを何もない場所へと放り投げる。

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