ハーメルン
Fate/GRAND Zi-Order ーRemnant of Chronicleー
暴走赤カブト2006
ソウゴたちは咄嗟にそれを視線で追い―――ウォッチが虚空で消えるのを見た。
その魔力の波動を察知したクロエが叫ぶ。
「―――転移よ! あれ自体の魔力で、どこかに転移を……!」
「また誰かをアナザーウィザードに……!
ウィザードのウォッチを手に入れるつもりじゃなかった……!?」
彼らのその反応を見ていたスウォルツが喉を鳴らす。
「既にアナザーウィザードはアナザーライダーの
王
(
・
)
が記録した。最早ウォッチは要らん。
さて。俺たちはこの特異点からはもう離れるが、せいぜい気を付けることだ。
偶然にも、貴様が弾いた俺の攻撃が奴の縄張りを荒らしたようだぞ?」
そう言ってスウォルツが笑った。
―――その瞬間。
新宿を揺らす獣の咆哮が轟いた。
縄張りに踏み込まれた時より遥かに、圧倒的に強い咆哮。
その衝撃が周辺一帯のビルを揺さぶり、僅かに残っていた窓硝子などを微塵に砕く。
『―――さっきの攻撃だ! 弾かれたギンガの攻撃が、国道まで突き抜けた!
結果として道路が一部粉砕されて……ライダーが動き出した!』
「アナザーカブト……!」
ロマニの声を聞いて、即座にジオウがウォッチを取り出す。
もはや一秒さえ猶予はない。
相手は動いた瞬間にこちらを蹂躙できる、光速の疾走者。
そんなジオウに肩を竦め、スウォルツが飛流の肩を掴む。
そのまま彼らは紫色の光に覆われる。
飛翔を始めたそれは、時空の狭間を空高く開いてその中へと消えていく。
「クロはみんなと一緒に下がって!」
〈ドライブ!〉
速度で対抗するためにドライブウォッチを構えるジオウ。
そんな彼の言葉に、クロエが酷く渋い顔を浮かべた。
「下がるって、どこまで下がればいいのよ!
こっちまで来た場合、国道から離れても意味ないってことじゃない!」
先程の咆哮だけで分かる。
今のライダー、アナザーカブトは、初見の時よりも明確に
怒
(
・
)
っ
(
・
)
て
(
・
)
い
(
・
)
る
(
・
)
。
最初の時は、ライダーの縄張りへ侵入しただけだった。
だが今回の自分たちを、相手は縄張りに対し攻撃を行った侵略者と見ているのだ。
今回は恐らく走り抜けるだけではない。間違いなく、追いかけてくる。
疾走でさえ防ぐ方法がないというのに、狩猟などされたら猶更止められない。
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