ハーメルン
Fate/GRAND Zi-Order ーRemnant of Chronicleー
暴走赤カブト2006
その上で、エドモンは酷く顔を顰めた。
何よりカルデアに接触できないのは、あの異物がそこにいるからだ。
あんなあからさますぎる怪しさ。
あれには何も考えが無い、などと思えるはずもなく。
「―――そして一番の謎は。なぜ、こんな
世
(
・
)
界
(
・
)
観
(
・
)
を導入したか。あの男は敗北こそが結末だ。こんな世界では、こんな世界だからこそ、如何に奴とて滅びからは逃れられない」
「落ちる滝がないから無事で済む、とかか?」
ひとしきり笑った後の、茶化すようなアンデルセンの言葉。
その冗談に軽く眉を上げ、エドモンが足を止めて振り返る。
彼はそこで腕を持ち上げて、口元に持って行こうとして。
―――何かに気付いたように、そのまま帽子のつばに指をかけた。
「ユニークな発想だがナンセンスだ、ミスター・アンデルセン。
―――そう、滅びから逃れられない。
オレには奴が、自分の前に敗北の運命を敷き詰めているように見える」
下水道の天井。
その先にある空を見上げながら、彼は目を細める。
「ほう。自分が敗北するまでの道を整えている、と? ではどうやって。
相手を追う銃弾。そして、“バレル”。そして幻霊と英霊を融合させる手段。
推理の材料としては、十分な証拠が揃っていると見えるが?」
「……核となる英霊の正体は見紛うはずもない。使われた幻霊の正体もまず間違いない。
“バレル”―――その銃口を向ける相手は見極めたと言っていい。
弾倉に込めるための弾丸として、何が装填されるかも十分に推測可能だろう」
挑発するようなアンデルセンの物言い。
エドモンはそれに淡々とした声で言われるまでもないと返す。
「かつて探偵と悪党がライヘンバッハの滝に諸共に落ちたように、自分も相手も纏めて滅ぼす事を願うのであれば、自分の滅亡を補強する事に意味があるとは言える。弾丸が放たれる事が自分を滅ぼす事になるならば、アレが滅びを背負う事は弾丸を強化する事に繋がるから。奴自身が持つ“敗北の運命”によって自分を滅ぼす余波で、
つ
(
・
)
い
(
・
)
で
(
・
)
に
(
・
)
相手を滅ぼす」
“勝利の運命”も、“敗北の運命”も覆せない。
そういう世界に導かれているのが、この特異点だ。
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