ハーメルン
Fate/GRAND Zi-Order ーRemnant of Chronicleー
暴走赤カブト2006
今の一撃が致命傷に及ばずとも、無傷で済むはずがない。
気配を消して逃げようとしたところで、獲物に何故か何となく当たる彼の弾幕は欺けない。
居場所を隠して逃げ切れなければ当然、いま着地した黒い剣士に討ち取られる。
「さて。どうやらこれで、詰みのようだネ?」
何かに気付いたようにクロエが顔を上げる。
いま狙撃が行われた、ということか。
そちらに意識を向けつつも、ジオウが迫りくるアナザーウィザードを見た。
「オォオオオオオ―――ッ!」
数度打ち合い、既に彼我の力量差を見極めた。
次の一撃で確実にウォッチを砕く。
そう考えて、突き出したジオウの手の中に、直剣が現れる。
〈ジカンギレード!〉〈ライドヘイセイバー!〉
〈フィニッシュタイム!〉
ジカンギレードに装填するのは、バロンウォッチ。
ヘイセイバーにはドライバーから外したディケイドウォッチ。
二振りの剣が必殺待機状態に入り、光を帯びる。
ギレードはその状態で地面に突き刺して。
ジオウは更にヘイセイバーのセレクターに指を掛けた。
「クロ!」
「りょーかい!」
マスターの指示に少女が前に出て、双剣を構える。
そんなことには構わず突き進むアナザーウィザード。
彼が背後に展開した魔法陣から迸る火柱。
雪崩れ込んでくる炎の波を前に、クロが即座に剣群を目前に投影した。
地面に突き刺さる刃が壁となり、炎に対する盾となる。
が、アナザーウィザードは刃の壁に向けて跳び込む。
直後に回転を始めた体が、立ち塞がる剣を粉砕した。
ドリルのように突き進むアナザーウィザードが炎を巻き込み、燃え上がる。
迫りくる灼熱の螺旋を目にして、クロは即座に撤退を選択。
転移でもってジオウの背後まで下がる。
代わりに前に出るジオウ・ディケイドアーマーフォーゼフォーム。
その足が大地を踏み締め、大きく剣を振り上げる。
〈ヘイ! ウィザード!〉
正面からウィザードの力のぶつけ合い。
それならそれでいい、と。アナザーウィザードがより加速する。
彼の手には既に、もう一つのアナザーウォッチがある。
もし撃ち負けたとしても、そのままそちらのウォッチに切り替えて―――
そう思考する彼の前で、剣を振り上げているジオウが半身を引いた。
まるで射線を開けるように。
「―――なにを……!」
退くような姿勢を見せた常磐ソウゴに猛り、より前のめりになる彼。
その視界が捉えるのは、ジオウが避けた結果見えるようになった少女の姿。
紅い外套の少女が、地面に突き刺さった剣を抜く。
流れるように弓に番えられる、字換銃剣ジカンギレード。
クロが弓を引き絞れば、剣の矢はその刀身を黄色に光り輝かせる。
「矢になるように改造はできないけど、ね!」
〈ギリギリスラッシュ!〉
十二分に蓄えた力を確かめて、クロの指が矢から離れる。
放たれる一撃は、輪切りにしたレモンのようなオーラを曳いて。
宙を翔ける剣の矢は、過たずアナザーウィザードへと直撃した。
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