チートTS転生ウィッチだけど詰んでる
「隊長、3時方向より航空型多数!小型30、中型8、大型1!」
「私が突撃して敵の陣形を崩す!お前達は小型を優先して対応しろ!ロッテを崩すなよ!」
嫌な報告に舌打ちを堪えながら、私は敵増援に向けて正面から突撃した。
幸い、敵のレーザーだかビームだか分からん攻撃は狙いは正確だが、弾幕は張れても偏差射撃の精度は低い。
それでも数があれば十二分な脅威であり、通常の実体弾よりも空中に限っては命中率は高い。
だが、自分には当たった所で意味が無い。
重力制御、それが自分と言うウィッチが持つ固有魔法。
重力を操作する事で重力障壁の展開や通常の慣性を無視した機動を可能とし、溜めの時間さえあれば戦艦クラスの砲撃すら可能なこの魔法を用いれば、例え上がりを迎えようともエース級の戦力として活躍できるだろう。
極めつけにウィッチ達の中でも例を見ない程に膨大な魔力も持っていると来た。
そんな私が最前線たるドーヴァー海峡に、ネウロイの支配下となったガリアから最も近い場所の防衛部隊に配備されるのは当然の事だった。
別にその事に否は無い。
まだまだ中身は普通の子供である他のウィッチ達に比べ、中身は歳だけは取っている自分こそが前に出るべきだと分かっているからだ。
(それしかないとは言え、嫌なもんだな。)
ウィッチを戦わせる事、それ即ち子供を戦わせる事だ。
勿論ルーデルの様な例外は存在するが、そんなものは一握りの例外に過ぎない。
殆どのウィッチはまだ親の庇護下にあるべき子供であり、子供を戦争に参加させるなんてナンセンスだ。
しかし、前世の平和ボケした平成生まれの倫理観なんてこの世界じゃクソ程も役立たない。
ここは戦場で、相手は人類ではなくネウロイという化け物で、相手はこちらを皆殺しにしようとしているのだ。
するべき事はただ一つ、生き残りたければ殲滅あるのみ。
そんな地獄の様な場所に、自分から飛び込んだ。
分かっている、馬鹿な事だと。
でも、平成生まれの倫理観が子供だけを戦わせるなと叫んで止まないのだ。
だから家族の、大好きな祖父の反対も押し切って、自分はウィッチとして軍人になった。
その一年後、ネウロイ大戦が勃発し、欧州全土が戦場と化した。
自分はそんな中、ブリタニアからの義勇軍として参戦し、各地を転戦した。
カールスラントでは多くのウィッチ達と軍人らと共に全ての国民をノイエ・カールスラントへと脱出させるまで戦い続けた。
ガリアでは旧弊でプライドだけのガリア人に呆れ果てながら、それでも長年欧州のバランサーとして散々やらかしてきたブリタニアの「見捨ててない」ポーズとしてやはり国民の植民地への脱出まで戦った。
そして現在、ブリタニアに戻り、後輩のウィッチ達の指導の傍ら、欧州亜大陸から飛来してくるネウロイ相手の防衛戦に終始している。
現在は各国のウィッチを集めた統合戦闘航空団が組織され、効率的に航空型の排除と地上への支援を行っているそうだ。
が、そもそも何処もウィッチの数が少ないから派遣したがらないし、他国からの介入であるとか戦後の主導権だとかで各国のパワーゲームに巻き込まれて上手く行っていないそうだ。
そんな人間側の事情なんて、ネウロイは微塵も考慮してくれないのにも関わらず、人類は相変わらずだった。
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