8 クイーンと火龍
《条件を満たしました。称号「竜殺し」を獲得しました》
《称号「竜殺し」の効果により、スキル「生命LV1」「竜力LV1」を獲得しました》
《条件を満たしました。称号「恐怖を齎す者」を獲得しました》
《称号「恐怖を齎す者」の効果により、スキル「威圧LV1」「外道攻撃LV1」を獲得しました》
《熟練度が一定に達しました。スキル「魔王LV1」を獲得しました》
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《熟練度が一定に達しました。スキル「禁忌LV6」が「禁忌LV7」になりました》
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火竜を倒した私たちは迷宮脱出のため、上層に向けて移動を続けていた。
あれからというものの、私は使えるときには強欲を発動させて、少しずつだけど魂を蓄えるようにしていた。
強欲は発動できる距離に制限があるみたいで、距離が遠くなればなるほど奪い取れる魂の力が減っていくみたい。
そして強欲を使うと蜘蛛子ちゃんに経験値が殆ど入らなくなるみたいでもあるから、使用出来るタイミングは限られていて、近い距離で私が倒した魔物にのみ強欲のスキルを使っていた。
……とはいえ、それもなかなか上手くいっていないのが、現在の状況で。
新たに獲得した称号「恐怖を齎す者」。
周囲に恐怖の効果をバラ撒いてしまう、ONOFFの切り替えが出来ない称号。
これを私と蜘蛛子ちゃん両方で獲得したため、中層の魔物が私たちを見ると、いや私たちを目視する前から逃げ出してマグマの海に潜ってしまうので、殆ど狩りが出来ないでいた。
どれだけ隠密を行っても近づけば気づかれて逃げるので、運良く陸上に上がっている魔物に対し超遠距離から狙撃して、気づかれる前に仕留めるのが最近の私たちの狩りの内容である。
おかげで、私も「暗殺者」の称号を獲得したし、確実に当てるため予見から未来視に進化したりだとか、高速演算がカンストしたりだとか、先に気づくため感知できる距離に特化した森羅万象の運用法を編み出したり等々、必要に迫られたことで様々なスキルの活用方法を編みだす事に、頭を悩ませていた。
そのぶんスキルのレベルはドンドン上昇していくので、少なくとも悪いことばかりでは無いのが救いなのかもしれない。
蜘蛛子ちゃんは、獲物が減って悲しんでるように見えるけど、主に食べられる相手が減った事に大きく悲しんでいるような気がしていた。
前世のイメージからは思いつかないような、食い意地張った生き方しているからねぇ……
……前世か。
私も大分、魔物としての自分に染まってきているのを感じていた。
転生した初期のころは、慣れない身体に四苦八苦していたけど、今は人じゃない身体に拒否感や違和感を覚えなくなってきている。
それに生々しい血や死骸を見ても気持ち悪さを覚えず、それが食料にしか思えなくなったのは、確実に前世から私が変質していってる証明だと思う。
たまに自分が自分で無くなるような強い衝動に襲われて、気持ちが暴風のように荒れ狂う時もあって、平静を保てず無性にイライラしちゃう時もある。
その時私は、すぐに念話を切って魔法の操作に集中する。
じゃないと、蜘蛛子ちゃんにイライラをぶつけてしまいそうで怖かったから。
私がしていることは、触れたくないものに蓋をして先送りにしているだけで、決してこの気持ちが消えることは無いと理解しているけど、今は理解したくなかった。
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