ハーメルン
悪くねえ 大したもんだ ハルウララ
トレーナー兼工場長


「ハイハイ、それで本題って何だ?」

「っは!? 失礼! 話が逸れたな。単刀直入に言おう! トレーナーを兼業する気は無いか?」

「はあ? トレーナー? だったら、この学園に腐る程居るじゃねえか」

「うむ、それはそうだが……少し事情があってな……とにかく! 言葉よりも見せた方が早い!」

理事長はそう言うと椅子の上から飛び降り、ついて来いと一言ハイゼンベルクへ伝えると、ドアをドンと開け放った。
外ではちょっとした騒ぎになっていた様で、ウマ娘が野次ウマの如く集っていた。その中でも何人かは聞き耳を立てていた様で、理事長の開けたドアに打たれた者もいた様だ。
その様子に、思わずため息をつくたづなであった。

扉が開き、騒ぎの中心人物が出て行った後、廊下では未だあの不審者について話し合っている生徒達。そんな中、トウカイテイオーと呼ばれる彼女は開いた扉に直撃し赤くなった鼻をさすっていた。

「聞き耳なんて立てるからそうなるのですよ」

涙目の彼女に冷たく言い放ったのはメジロマックイーン。さらに彼女は追い討ちの言葉を投げかける。

「そもそも、あんなにベッタリと扉に張り付かなくたって声ぐらい聴こえますわ」

「じゃあマックイーンは何話してたか全部わかったんだよね? 早く教えてよ!」

「え? そ、それは……」

「ほら! やっぱり聞こえてないじゃん!」

二人があーだこーだ言い合っていると、後ろからそれを止める声が響く。

「ほら、二人ともやめないか」

「あ、カイチョー!」

シンボリルドルフと呼ばれる彼女はテイオーからの呼び掛けに反応を示すも、その目はじっとあの不審な男の背を見続けていた。

「カイチョー! あの人って誰か知ってる?」

「いや、私も知らない」

「「え!?」」

生徒会長である彼女は理事長の側にいることも多いため、なんかしらの情報を持っていると踏んでいたテイオーとマックイーンだったが、返って来た想定外の回答に驚きを隠せなかった。

「もしかしてさ、トレーナーなんじゃない?」

「アレがトレーナー……? 一般的なイメージとかなり違ってますけど……」

テイオーの言葉に各々自分を担当しているトレーナーの顔を思い浮かべる。男性も女性も共通して、あのようなラフすぎる格好をしている者はいないと言うことだけだ。

「あ! きっと、工事の関係者ですわ! あの大きな金槌も工事用の物だとしたら納得がいきますわ!」

「あー! そうか! 冴えてるね、マックイーン」

「メジロ家の者として聡明なのは当然のことですわ!」

結局、彼女らの間では工事のおじさんと言う認識で固まったようだ。そして、この騒ぎに夢中になっていたせいか、次の授業までの時間が少ししか無いことに気付き、彼女達は次々に散開したのだった。
ただ、シンボリルドルフだけは納得がいってないようで、一人歩きながら呟いた。

「工事……? 今月にそんな予定は無かった筈だが……」

しかし、そんな思考は時計の針に遮られ、彼女は急いで教室へと向かうのだった。











理事長に連れられてやってきたのは学園のグラウンド。彼女は一番先頭の席の上に立ち、威風堂々に言い放つ。

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