ハーメルン
悪くねえ 大したもんだ ハルウララ
幻想世界?んなもん知らねえな!


ハルウララがVR装置に入ってから数分後、彼の方でも学園と同じく、警告灯と機械音声が流れ始める。だが、彼はもう一台のVR装置を持っておらず、手の打ちようがなかった。

「重大なエラーだ? どうして面倒な問題抱えてるモンに限って、全リセットみてえなふざけた対策方法しかねえんだ? ったくよ」

どうやら、せっかく直した物をリセットされるのが気に食わない様だ。

彼は乱雑に稼働中のVRマシンの制御盤を開くと、そこに端末のコネクタを繋ぐ。そのまま流れる様に操作を進めていき、彼は本来ならあまりやるべきでは無い行動に出る。

「システムの中身を全部パクって、普通のVR機器にぶち込めばそれっぽくなるだろ」

一般のVR機器を気まぐれで適当に改造して出来てしまった代物を彼は端末に接続し、適当にシステムデータをパクっていく。

「ヘッ、正規ログインなんて出来るわけねえな。まあ、緊急用のバックドアぐらいは生憎付いてるんでな、犯罪だか何だか知らねえが有り難く使わせて貰うか!」

彼は悪い笑みを浮かべながら、セキュリティの穴を使って彼女のいる幻想世界のサーバーへアクセスし始める。そもそも、正規の方法で無く、正規の機器でも無いので問題が起きない方がおかしいのだが、何故か普通にアクセスに成功する。

「まあ、何かあったら無理矢理出て来れんだろ」

大分楽観的な考えのまま彼はその改造VR機器を被ろうとするが、何かを思い出したかの様にその手を止める。そして、端末に追加で何かの情報を打ち込むと、今度こそ彼はパイプ椅子に座ってその怪しさ満点のVR機器を被ったのだった。

彼の意識は闇へと消え、再び目に光が入る頃には幻想世界に足を踏み入れていた。

「ほう、ここがあの能天気野郎がいる場所か。中々面白そうじゃねえか!」

よく分からない村のど真ん中に生み落とされたようで、周囲を行く人々は珍しそうに彼の様子を見ていた。

「さてと、何すりゃいいか分かんねえ時は、大体ステータスかメニュー画面開けば万事解決だ……なんだコレ?」

そう言ってお望み通りの画面を開いた彼だったが、その画面は所々ノイズの様なもので読めなくなっていた。しばらく手を顎に当てて難儀していると、一人のガタイの良い男が横から助け舟を出した。

「アンタ、大丈夫か? 困ってるみてえだが」

「テメエ誰だか知らねえが、確かに少し困ってる。だが、テメエが見たって解決しやしねえよ」

「何だって!? この傭兵マッチョスが見てやるって言ってんだ! 解決出来ねえ筈が……って何だこりゃあ!?」

傭兵マッチョスと名乗る男は、壊れたステータス画面を見て驚きの声を上げた。解決出来ると意気込んでいたが、どうやらそれは虚勢になってしまいそうだ。

「職業……無職!? こんなの初めて見たぞ! アンタ……凄まじくバグってるが、一体何したんだ?」

「あー……心当たりはねえな」

平然としらばっくれるハイゼンベルク。実際の所、バグった原因の心当たりならあり過ぎて逆に困っている事だろう。

この筋肉に囚われた男によると、今の彼の状態はスキルどころかアイテムの収納すらまともに使えないらしく、何故か幻想溢れるこの世界で一人だけファンタジーもクソもない非幻想を強いられてしまった様だ。


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