ハーメルン
勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~
10羽
スバルたちは元一味の男に教えてもらった屋敷へ向かいます。
その屋敷はすぐに見つかりました。
他の建物より頭が二つ三つ分高いうえに紫色の屋根がとても目立っていたため、遠目からでもよくわかったのです。
広い庭を持った大きな屋敷でした。
海に面した場所に建てられており、海上に浮かぶ大きな船を屋敷に横づけしています。
屋敷に到着したるしあは早速インターホンを鳴らしました。
すると屋敷の方でチリンチリンと鈴のような音が響きます。
「ど、どちらさまでしょう?」
しばらくしてからメイドが出てきました。
明るい紫色の髪をして、それらをツインテールに結びカールさせています。
そんな彼女の着るメイド服は紺色で、裾から白い下衣のフリルが覗かせていました。
「あなたはこの家のメイドですか?」
るしあが尋ねます。
すると彼女はおずおずと頷きながら「そう、ですけど」と答えました。
「あ、あなたたちは?」
メイドは不安そうにスバルたち三人を見回します。
「ああ、心配しないでください」
るしあはそんな彼女の不安を和らげようと微笑みかけました。
「るしあたちは湊あくあさんに少し用があってやってきただけなんです。もしよければ、あくあさんにそのことをお伝えしてもらえませんか?」
なるべく物腰柔らかに話するしあに「別に、いいけど」とメイドは答えます。
「何の用できたのか、あ、あてぃしにも教えてもらわないと」
それを聞くまで動かないと言いたげに、彼女はじっとるしあの返答を待ちます。
るしあは困った顔をしながら「どうしましょう?」とスバルとキアラの方を振り向きます。
すると二人は頷き返してきました。
るしあはメイドに向き直り「実はですね」と説明し始めます。
「るしあたちはある島に行きたいのです。それで船場の人々に船を出してくれないかと頼んでみたのですが断られてしまいまして、そんなとき、親切な方にあくあさんも立派な船をお持ちだと教えていただきましてね。どうかその船を出していただけないかと」
「つまりアクアマリン号を使いたいのね?」
メイドは話途中のるしあを遮って聞き返します。
いきなり強気に聞き返されたものだから、ルシアは「え、ああ、はい、まあ」と曖昧に答えて頷いてしまいました。
「行きたい島っていうのは西の孤島?」
さらに問いかけられて、るしあはどう返答しようか困ってしまいます。
元宝鐘海賊団一味の男から、この町の人々は西の孤島を恐れていると教えてもらっていたからです。
しかしふと、スバルがるしあに向かって何度も頷いているのが視界の端に見え「ええいままよ!」という気持ちで「はい」と答えました。
「この町の皆さんにとって嫌な島だということは重々承知しているのですが、るしあたちはどうしてもあの島に行かなければならないのです」
するとメイドはるしあに「ふうん」と軽く相槌します。
「そうなんだ。やっぱり西の孤島に行くためなのね」
驚いたことに、彼女はるしあが西の孤島に向かうと言っているのにまったく不快そうではありません。
むしろ嬉しそうにすら見えます。
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