ハーメルン
勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~
11羽
「困りましたね」
あくあの屋敷を出たスバルたちは帰り道を歩いています。
「シュバ、シュバルバシュババ。シュバシュバルババシュバルルシュババシュバルルシュバルルシュバルルシュバシュババ」
(いや、大きな前進だ。あの船長をやる気にさせれば船を貸してもらえるんだから)
「そうですけど」
「スバルせんぱいはなんて?」
シュバル語がわからないキアラがるしあに聞きます。
「あとはあの船長をやる気にさせるだけだ、と」
「そうデスねスバルせんぱい!」
キアラは元気よく拳を突き上げました。
「でも、それが問題ですよ。あの船長が素直に同乗してくれるとはとても思えません」
意気込んでいるキアラに聞こえないよう、るしあはぼそりとスバルに話しかけます。
「シュバルババ」
(確かにな)
それにはスバルも同意しました。
◇ ◇ ◇
五時過ぎごろ、スバルたちはあくあから教えてもらったマリンの宿泊先へ向かいました。
「え? 船長? いや、まだ帰ってきてないね」
事情を話し、マリンの部屋を尋ねたスバルたちに宿屋の主人は首を振ります。
「きっとまだ酒場で酒を飲んでるんじゃないかな」
「そうですか。ありがとうございます」
るしあは礼を言って頭を下げました。
それから昼頃訪れた酒場に向かおうとします。
「がんばってくれよおまえたち」
すると、主人がそんなスバルたちの背中をばんばんと叩いて応援してくれました。
◇ ◇ ◇
スバルたちが例の酒場に行ってみると、宿屋の主人が言っていた通りまだマリンがいました。
昼頃会った時と同じカウンター席に座ってお酒を飲んでいます。
「あらあ、あんたたちぃ。おかえりなさあい」
スバルたちを追い払ってからもずっと飲み続けていたのでしょう、その顔は真っ赤になっていました。
「シュバ。シュバア、シュバア」
(おい。るしあ、キアラ)
そんなマリンを認めたスバルがるしあとキアラに目配せをします。
二人もスバルに頷き返しました。
これはもしかするとチャンスなのではないか、と三人は思ったのです。
酒で酔った勢いに任せて「いいよー、船に乗るよー」と言わせるために、スバルたちはマリンの近くの席に腰かけてさりげなく話しかけ、彼女が気持ちいいように持ち上げてから船に同乗してくれないかと頼みました。
「いやだ」
しかし、船に乗ってほしいと頼む直前までは「なんでも言ってよー」と安請け合いしていたくせに、そのことを口にしてみれば手のひら返して「いや」の一言です。
「なんでですか」
るしあが食いつきます。
「なんでもよ。とにかくいや」
取り付く島もありません。
「あんたたち、どうせ昼頃言ってた西の孤島に行きたいんでしょ? あーやだやだ、どうしても行きたきゃ泳いでいけばいいんじゃない? アヒル連れてるんだし」
「シュバ、シュバルバシュバシュバ!」
(おま、ふざけんなシュバ!)
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