ハーメルン
勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~
14羽

「くくくく、さっきまでの威勢はどうした? タマネギ頭のお嬢ちゃんよお」

「くう!」

 スバルたちが屋敷のなかを走っているまさにそのころ、湊あくあは最大のピンチを迎えていました。
 場所はアクアマリン号が停泊されている屋敷内の波止場です。
 アクアマリン号に火をつけんとするスバ友の男に、あくあが下級剣のサラミソーセージを手に立ち塞がっていました。

「こんな程度じゃすぐにやられちまうぜえ?」

 対する男が持つソーセージは上級剣のトルネードポテトです。

 ちなみにこのトルネードポテト、剣の柄はフォークではなく串になっています。
 このように剣として用いられるソーセージのなかにはフォークではなく串によって出現されるソーセージがいくつかあり、それらは通称「串剣」と呼ばれています。
 またこの串剣に対応する用語としてフォークによるソーセージは「鉄剣」とも呼ばれています。

 閑話休題、スバ友の男は何重にもカールされたトルネードポテトをいやらしく揺らしながらあくあににじり寄っていきます。

「ま、まだまだあ!」

 あくあはそんな男に向かってサラミソーセージを振るいました。
 しかし男はいやらしくトルネードポテトをしならすだけで、その剣を弾いてしまいます。

「くはははは! 軽い軽い! これが剣士だっていうんだから笑わせてくれるぜ!」

 男はあくあに揺れるトルネードポテトの切っ先を向けました。

「そうそう自己紹介がまだだったなあ」

 ぶらんぶらんと揺らします。

「我が名は上級剣士鈴木、栄えあるスバル三剣士の一人よ。二つ名は『スバルの咳払いしか愛せなくなった男』」

 そう名乗ってから男はニヤリといやらしく口角を吊り上げました。

「自己紹介も済んだことだし、いい加減そろそろ退きなお嬢ちゃん。俺の用があるのはお嬢ちゃんの後ろにある、そのでけぇ船だけなんだからさ。ちょちょいと火だけ付けさせてくれやあ、大人しくここから出ていくんだがな」

「断る!」

 はっきりと口にするあくあに「くくく、そうかい」と鈴木は笑います。

「まあじゃあ実力行使しかねえわけだが俺だって腐ってもスバ友の一人、殺しはしねえよ。ただちょっと怪我してもらおうか」

 言いながら鈴木はまたじりじりと距離を詰めました。
 彼は時々急にトルネードポテトを止めたり揺らしたりして、あくあが過敏に反応するのを楽しむようににやにやしながら近づいていきます。
 彼が一歩前進するのに合わせてあくあは一歩後退します。
 そして一歩また一歩と徐々に後方へずれていき、気づくとあくあはアクアマリン号と鈴木に挟まれ逃げる場所を失っていました。

「さあ、終わりだお嬢ちゃん!」

 鈴木が剣を振り上げます。
 それでもあくあは逃げ出そうとせず、剣を構えたままギュッと目をつむりました。
 その時です。

「すずきイ!」

 鈴木の背後から凄まじい声量の声が発せられました。
 鈴木が思わず振り向くと、彼の目と鼻の先にまでその声の人物は迫っており、手に持つ上級剣チュロスを彼に向かって振り下ろしていました。

「キ、キアラ!」

 鈴木は慌てて身体をキアラに向き合わせ、振り下ろされたキアラのチュロスをトルネードポテトで受け止めます。

[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析