ハーメルン
勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~
14羽


 マリンは声にドスを利かせますが、あくあは負けじと一歩前に出ます。
 マリンはそんなあくあの目が潤んでいることに気づき気圧されて、一歩後ろにさがりました。

「ねえ船長、もう一度だけ海に出てよ」

 その声は威圧的というよりも縋りつくような必死さが滲み出ていて、マリンをぐいぐい押しやります。

「そしたらあてぃしは何でもするよ。あてぃしのこの手でアクアマリン号に火をつけたって良い、だからあてぃしたちにもう一度だけ夢を見せてよ」

「ゆ、ゆめ?」

 聞き返すマリンに「そうよ!」とあくあが頷きます。

「船長がくすぶらせてる夢は船長だけのものじゃない、メードみんなの夢そのものなのさ! 宝鐘海賊団はあてぃしらの誇り、風になびく海賊旗はあてぃしらみんなの胸の鼓動! 宝鐘海賊団の数々の成果を皆が皆、よその町で自分のことみたいに鼻高々に自慢してる! そしてまた宝鐘海賊団があの頃みたいに海へ出ると信じてる! みんながみんな、船長が仲間の死を乗り越えて新しい航海に出るのを待ってるんだ!」

「……ッ」

 たたみかけるあくあに、マリンはもはや言い返す言葉が見つからずに黙り込んでしまいます。

「帆を上げて出航! あてぃしらのエルドラド! 夢を諦めきれないのは船長だけじゃないんだよ!」

 そこまで言い終えてから、あくあはすべての力を出し尽くしてしまったかのように尻もちついてしまいます。
 それから「ひくっ、ひくっ」と嗚咽を上げて泣き出してしまいました。

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