ハーメルン
勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~
17羽
翌日になりました。
マリンとスバルたち、そして宝鐘一味は西の孤島を目指してアクアマリン号に乗っています。
「すっすめー」
マリンが歌いはじめました。
「「太陽はさんさん、大航海日和だー」」
すると彼女に続いて一味たちも合唱しだします。
「うったえー」
「「最高のテンション、波の音によせドーンブラコー」」
「海でー、ガールズパーティー」
「「丘でー、アニキがハッピー」」
「お空ではドークロくん、ひらひらー」
「「山奥ボロボロマイハウスでゆめーを見てー」」
「ああん、神ちゃ」
「船長! 島が見えてきやした!」
マリンのソロパートを遮って報告する一味の男に、彼女は「なにい!」と答えてから船首へ駆けだし前方を見渡します。
すると、確かにうっすら出ている霧の向こうに小山のようなシルエットが見えています。
「よおし! このまま前進、ヨーソロー!」
「「アイアイサ―!」」
そしてアクアマリン号は西の孤島へ到着しました。
◇ ◇ ◇
「悪いわね、あんたたちを島に残して船を出すことになって」
西の孤島に接岸されたアクアマリン号。
島の陸地に降りたスバルたちにマリンは頭を下げます。
「でもメードや町のみんな、あくたんがどうなっているのか心配でさ」
そんなマリンに「謝らないでくださいよ」とるしあが顔の前で手を振ります。
「るしあたちはここまで船を出してもらっただけですごく感謝なのですから」
「本当にごめん。向こうの様子を確認し終えたらまたすぐ戻って来るから」
そう言ってからマリンは頭を上げ、てきぱきと再出航の準備に取り掛かります。
「シュバア、シュバルババ」
(るしあ、あのことを)
スバルがるしあに何かを促します。
るしあはこくりと頷きました。
「あの船長、ちょっといいですか?」
ちょうど一味の男と喋り終えたタイミングを見計らい、るしあがマリンに話しかけます。
マリンは「ん? なに?」と言って彼女のほうに振り向きました。
「あのですね、昨日るしあたちは船長が戦っているところを見させていただきました。船長はレジェンドソーセージ・マシーンヨーテボリの所有者だったんですね」
「まあね。と言っても、船長は一味のみんなと航海を楽しんでいるだけのつもりだったのに、いつの間にかそんなことになってただけなんだけどね」
そう言ってから「あははは」とマリンは笑います。
「実はですね、そのことで船長にお願いがあるんです。というのも、そもそもるしあたちがこの島を目指していた理由はレジェンド所有者に会うためなんです」
「んん? どういうこと?」
るしあはマリンに、自分たちはスバルのアヒルの呪いを解くためにレジェンド所有者を探している、という事情を話しました。
「なるほどね」
マリンが頷きます。
「それで納得したわ。確かに、レジェンドソーセージを所持してるらしいからね」
「それで本題なのですが、スバル先輩の呪いを解くために、レジェンド所有者である船長の署名もこの『クソザコの書』にいただけませんか」
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