ハーメルン
勇者スバルの大冒険 ~剣(ソーセージ)に愛されしアヒルよ、伝説となれ~
3羽

「さあ、着きましたよスバル先輩」

 野を抜け森を抜け、アヒルもといスバルが連れてこられたのはおどろおどろしい雰囲気漂うるしあの屋敷でした。
 るしあは屋敷の門を開けてスバルを中へ招き入れます。
 そのまま地下へ案内します。

 スバルはどこへ連れていかれるのだろうと思いながら彼女についていき、気が付けば鉄格子の檻の中に入れられていました。
 ガチャンと檻の出入り口が閉められます。

「スバル先輩、ここはるしあの一族が拷問する人間を閉じ込めておくために作った牢獄です」

 檻の外からるしあが話しかけます。

「広さだけはそこそこありますが、ベッドもなければトイレもありません。床には屋敷の庭の土がしき詰められ、野草が生え茂っています。でも飲み水だけは一本水路を引いて獄内に泉を作ってあります。この意味が分かりますか?」

 スバルは黙っています。

「生き物としてかろうじて生きながらえる環境を作っているのです。お腹がすいたら水を飲みなさい、それでも足りなければ草か土を食べなさい。トイレやベッドなんてもったいない、そこらへんにしてそこらへんに寝なさい」

「……」

「ねえスバル先輩、こんなところ嫌でしょう? もしスバル先輩がるしあとずっと一緒にいてくれると約束して血の契約書に署名してくれるなら、るしあはすぐにでもスバル先輩をこんな汚いところから出して、温かくておいしい手料理をごちそうしてあげるのです。ねえスバル先輩、契約書にサインしてくれますよね?」

「……」

 るしあの問いかけにスバルはやはり無言です。
 スバルはるしあをちらりと横見しました。
 それから足かきの付いた足でぺたぺた地面を踏み鳴らして歩き出し、一番草が生え茂った場所までやってきます。
 そこにゆっくりと腰を下ろしました。
 それからこれ見よがしに欠伸などしてみせます。

「へぇえそうですか、平気ですかはいはいはい」

 るしあは込みあがる怒りを抑えるように震えながら笑みを浮かべました。

「まあいつまでその強がりが続くことやらですけどね。るしあは高みの見物とさせていただきましょう」


  ◇  ◇  ◇


 一日後。

「どうですか? 一日よく考えて頭は冷えましたか? 今はまだるしあも大目に見てあげてますが、このまま意地を張り続けるとご飯も持ってきてあげなくなりますよ?」

「……」

「ふん。勝手にするがいいです」

「……」


  ◇  ◇  ◇


 二日後。

「スバル先輩、こういうのはですね、はじめのうちに素直になっておかないと後から言い出しづらくなってしまうものなんですよ。わかってるんですか?」

「……」

「ああそう、まあスバル先輩がそうしたいならすればいいんじゃないですか? あとこれ、今日のぶんのご飯です。ふふふ、いつまでるしあがこうしてご飯を届けてくれるのか、楽しみですねえスバル先輩」

「……」


  ◇  ◇  ◇


 一週間後。

「あああああ! もう! 仏の顔も三度まで、るしあのご尊顔は一週間までです! もうこれ以上ご飯は持ってきてあげません! 勝手に飢え死にでもすればいいんです!」

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