第19章~そして、獣が目覚める~
カッカッとタイルを靴が叩く音が響く
暗がりの中、ペローは足早に歩を進めていた
まるで、誰かを探すかのように
『何を急いでいる?』
そんな彼を呼び止める者がいた
それは、ペローにとっても探していた人物であった
『ブルー・・・!』
ペローが詰め寄っていく
その顔には、怒りが滲み出ている
『あんた・・・僕に何を隠している・・・!』
『あの楔は何だ・・・?』
クイーンは知っていて、自分は知らされていない情報があった
それは、ペローにとって許容できぬことであった
──自分に意図的に伏せられた情報のあることが不愉快であった
『──その事か』
『一体どういうつもりだ!!』
自分を軽んじているのか
ペローの怒りはさらに募っていく
『そう怒るな、元々楔はクイーンとサンをメインに進める想定だっただけだ』
『だとしても、俺にだけ内緒で事を進めるなんて許すつもりはないぞ・・・!!』
ストーリーテラーにリーダーはない
自分達4人はあくまで対等として、目的に進めていく話のはずだ
『・・・言う必要が無かった、とでも言っておくか』
『なんだと・・・!!』
ついに怒りは限界を超え、剣に手を掛けようとまでするペロー
しかし──
『おい』
『!?』
凄まじい圧力がペローに襲い掛かった
まるで強風が自分にだけ吹き付けるような強烈な威圧が
ペローを身動き一つできなくさせていた
『思いあがるなよ』
『何・・・!?』
『対等なのは、あくまでチャンスがあるということだけだ
誰が神を産み出すかのな』
『それ以上の権限までは保証する気はないぞ』
『っ・・・!』
それは、あくまで自分は下だという宣言であった
ブルーという男、テラーという力を産み出した男
そんな男にいいように使われるために募った内の1人がお前だと
そう、言いつけられているようであった
それは──
『ふ』
『ふざけるなよ・・・!!』
酷く癪に障った
体に力を込め、進もうともがく
『あ”あ”あ”あ”あ”っ!!』
体が引きちぎれるような感覚に陥る
それでも、そんなことに構う暇はなかった
頭の中には、すでに侮辱への怒りしかなかった
ピシリと体の中の何かにヒビが入った気がした
それが、骨か何かだったのか
それとも体の内側にあるチケットの物だったのか
考える余裕などは無かった
だからだろうか、
自分の中から、何かが湧き出てくることにすら
気が付かなかったのは
『か”ぁ”あ”あ”あ”!!!』
『──きたか』
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