第5章~手助け猫の襲来~
夜も更けた頃、
一人の男が人気もない路地裏を歩いていた
「ちっくしょー・・・・ヒック」
顔を赤くし、足元もおぼつかない
随分と酒に酔った様子のようだ
「どいつもこいつも・・・
けっこんとか、こいびととかよぉ・・ヒック」
「おれだって・・・
おれだってほんきだせばなぁ!!・・・」
「・・・・あー・・・もててぇ・・・・グスッ」
男はそんな妬みを愚痴りながら歩いていく
普段であれば、
そのまま恨み言を吐きながらも帰路につき
1日を終えてまた明日を過ごすのだろう
だが、その日は違っていた。
『願い事があるのかい?』
「あぁ?」
そういって声の方を見てみれば、
奇抜な格好をした青年が一人
人懐っこそうな顔を抜けて
こちらに話かけてきていた。
「なんだぁ・・・・あんた・・・?ヒック」
『僕はペロー、人の手助けが大好きなのさ!』
『君が何かを求めているのか見てね』
『ぜひ力になりたいんだ!!』
「・・・・?」
何を言っているのだろうか、この男は
訝し気に見つめる男に青年は近づいていく
なぜだろうか、どこから見ても怪しい男なのに
『さぁ』
なぜだろうか、その目から目を離せないのは
『君も力が欲しくない?』
※
喫茶「テアトロ」──
「女性の襲撃事件・・・?」
「ああ・・・
夜間に一人で出歩いていた女性が
意識を失った状態で発見される事件
が多発していてな」
昼も過ぎた頃に、
そんな話をもって太田さんはやってきた
女性ばかりを狙うとは何たる下劣な
「ただ・・・おかしな点が二点あってな」
「被害者は全員、外傷らしい傷が見られず、
また持ち物も持ち去られた跡がない
また、意識を失ってから数日たってもまだ、
目を覚まさないらしい」
つまり、窃盗や暴行が目的でなく、
また、意識を失わせる方法も不明とのことだ
なるほど、普通の人間の犯行にしては
不自然な事件だろう
「テラーの仕業の可能性が高いと」
コクリと太田さんは頷いた
「現在、警察は夜間警備の強化や
張り紙での周知などをしている」
「女性を襲っているのがテラーだとした場合、
標的の女性ではない 警官の男達と
鉢合わせた時に
どんな行動を起こすかわからない」
「できれば、
速いうちに見つけて何とかしたいんだ」
「・・・まかせてください!」
さて、そうなるとその謎の怪人を
どうやって探すかの話になる
「一番手っ取り早いのは・・・囮?」
女性を用意して、それを見張るのが一番だろう
となると、身近な女性に頼むのが必要になるわけで
「杏奈さん、頼めないかな?」
と、店を見渡しながら話すが・・・
杏奈さんが見当たらない
店のフロアにも、
奥のスペースにいる気配もない
「・・・あれ?」
・・・そういえば、朝から見てないような?
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