ハイジャック数時間前だ。
「どうした?元気がなさそうだな。これを飲むか?」
アンプルに粘度がある銀色の液体が入っている。始皇帝なら喜んで飲みそうな水銀のように俺には見える。そのメタリックさが信用ならない。
「いや、ジャック、それはいらんさ。あのシャア・アズナブルだってパイロットスーツを着てなかったと言うだろう?同じようにそれはいらん。」
ジオンのエースを引き合いに出せばこの狂人は下がるだろう。デラーズ・フリートガチ勢とか怖いので、許してほしい限りだ。星の屑作戦成就どころか、こちらはお前が広めた動画のおかげで、ダンスマフティーとして、マフティーの可能性に殺されて、海の藻屑作戦が成就しそうなんだ。しかし、向こうはこちらの借金という邪悪な力を握っている。強気に出れば修正されるだろう。
「しかし、全く何だこいつは?」
SFSはぱっと見ではあるが、ザクレロに見える様な改造が施されていた。邪悪なかぼちゃの化け物にも見えなくもない。またマフティーをイメージしたのか?マフティー性とか言い出すやつだからな。
「偽装だ。アタッチメントだから破棄ができる。それにこいつは各地のスクラップから作り出した特別製だ。増加装甲って奴さ。ドラッツェから着想を得てバーニアとプロペラントタンクも増設しているから機動性も航続距離も悪くない。お前のギャプランもパッと見はマラサイに見えるはずだ。」
ギャプランを見るとどちらかというとキハールに見える。大気圏内をザクレロに乗るキハールが飛んでくるとか正気を疑われるが‥‥なにより、正気を疑われる点は。
「で、なんだあの色は?あと増設されたバーニアというがどう見てもネティクスの有線式ビットだぞ。」
2機ともティターンズカラーに塗装されている。ティターンズカラーのザクレロなどはモデラーでも作らんぞ。
しかも、濃紺に肩を赤く染められて両肩には、逆さのジオンと連邦のマークが白で染められており、コックピットの部分にはデカデカとツィマッド社のロゴの中にジオニックのロゴがあり、光の角度でその上にアナハイム・エレクトロニクスのロゴや木星公社にサナリィのロゴが浮かび上がる。
ガンダムMk-Vカラーのザクレロもどきにも、連邦やジオンの部隊のマークが何十と付いており、ザクレロの額に箱に囚われたロンド・ベルマークとかやめろよ。
「ネティクスを知ってるのか?元オーガスタの友人が着けてくれた威嚇だよ。それにインコムにも見える偽装もつけてある。有線式のサイコミュがあるのにニュータイプとか騒がれているマフティーに抗うか?ニュータイプなら外からでも機体を動かせるんだろう?」
大雑把な理解はやめてくれ。カミーユとかプルとかだろそれは。そんな簡単にオーラバトラー化なんかできないし、ガンダムファイターでも無いぞ。助けてくれよバナージ。
「なにか勘違いをしているが、ニュータイプは神でも無ければ悪魔でもない。そう言うのは武装マフティーの仕事だろ?それは無茶な話だ。」
そう伝えるとジャックは嬉しそうに答えた。
「ニュータイプのようなことをいう。やはり、マフティーという存在で、マフティーダンスで人類を革新に導かんとするニュータイプだからか?」
ふざけた機体の前で、ふざけた事を聞いてくる。それも真面目な顔をして聞いてくるものだから、思わず乗ってしまった。
「それでは道化だよ。俺は踊るよりも踊らされるのが多いから、今だってここにいるだけだ。まったく、生きづらいものだな。この蒼い宇宙の下ってやつはさ。」
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