ハーメルン
東方妖怪ノ街
6話 異変発生のお客様

「…ですから、さとり様。街で人間が惨殺されてるとの事で…調査の依頼が来ています」
「ふん。地上のことなんて、私には関係ないわ。そういうのは舞香さんに頼むのが1番いいと言うのに、何故私なのかしら?」
「そ、それはそうですがあたいには分からないので…」
「どうせ、私が人間を助ければ人間達には好かれるから、それ目当てで受け入れるとでも思ったんでしょう。そんな浅はかな考えしかできないから、人間は嫌いなのよ」
私はフンッと鼻で笑い、本を読み始めた。
お燐を困らせてしまったのは申し訳ないけど、人間の頼みを聞くなんて私のプライドが許さないんだから。
「人間が惨殺されているのは気の毒だけれど、舞香さんに頼んでくれと伝えてちょうだい!」
そう言って、お燐を追い出した。
微かに「さとり様ぁ〜」という声が聞こえた気もするが、私が気にする問題でも無い。
「……さて、本の続きを読みましょう…」
そう呟いて、ソファに腰掛けた…その時。
「さとり様〜!来客でーす!」
お空の元気な声が聞こえて、私はぎょっと目を見開いた。


「…ふぅん、魅ヶ崎星娜(みがさきせいな)さん、ですね」
「…………」
私の言葉に、お客様──魅ヶ崎星娜さんは黙ったまま頷いた。
「…それにしても、上司に言い遣ってここに来た…と…何かあったのかしらね」
「…本当はもっと早く来たかったのだけれど、上司の調子が悪くて…少し遅くなった」
「なるほど…とにかく貴方からの用は、昔の地上と地底の戦いが今回の人間惨殺事件と関係があるかも知れないから、そのときのことを聞きたいということでよろしいですね?」
読心能力を駆使し、勝手に話を進める、という私の悪い癖が発動しつつ、星娜さんに問う。
「ええ…あの御方の意図は全く分からないけれど、私はそう命令された…」
「なるほど…でも残念なことに、あれと今回のことは関係ないと思いますよ」
眉間に皺を寄せて首を振ると、星娜さんは、
「私もそう思うが…先程も言った通りこれは命令でな…」
と目を伏せた。
「それは重々承知しています。貴方に恥をかかせるつもりはありませんから、話しますよ」
ゆっくりと微笑むと、星娜さんも嬉しそうに頷く。
「確かあれは、50年程前だったと思います…」
私はぽつりぽつり、話始めた。
──地底と地上で、少し揉め事が起こりました。何故かは私にも分からないのですが…何日も戦いが続き少し疲れてきたところに来たのが、丁礼田舞香さんと、先代丁礼舞姫の舞子さんだったのです。いつか来るだろうと、当時地霊殿の主であった姉も私も、こいしも、思っていたんです……それ故に、彼女らは手強かった。母娘共に戦闘が得意で、動きが私達とまるで違う。パワーはあるのに女性らしい靱やかな動きも出来て、これこそが丁礼田の力なのだと思い知らされました。姉でさえ叶わない、丁礼田の力を…
しかし、突然形成が逆転したのです。きっかけは姉上が舞子さんに強力な攻撃を仕掛けたことです。一瞬の隙を見逃さずに、攻撃は見事直撃しました。それで少し弱ったところに、私がトドメを刺す…そこまでスムーズに進んだ。勿論、舞香さんの怒りは買いましたがね。でもここからは予想外でした。舞香さんの怒りは思いの外強く、彼女は必死に襲いかかってきて…私達では制御出来なかった。彼女からは狂気(ルナティック)を感じました。でも1つ、「抜け目」があったのです──

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