兎達の幕間
―兎達の幕間―
ここは幕間。如何なる常識も通じぬ場所。どれだけキャラを崩壊させても、メタを説いても構わぬ場所。海。おだやかな潮騒。彼女らはビーチマットに座っていた。各々が好きな食事を持ち寄り、とりとめのない話をしている。爽やかな潮風が抜ける。なんとものどかで、平和な空間だ。
「のどかじゃないやい」鈴瑚が第四の壁にソバットをかました。「幕間の話がしたくて名前まで変えただろ。……まあ、それはいい。何で私達はこんなに死ななくちゃならないのさ」「そうだそうだ」清蘭が同意した。意味を理解しているかはともかく。「……確かにまあ、死に過ぎよね」
「清蘭が死んだのが未遂も含めて八回、鈴瑚に至っては十回も死んでる」鈴仙がうんうん、と頷いた。鈴瑚は帽子を指でくるくるさせている。「それを言ったら鈴仙だって四回死んでるし、それどころか私達を直接殺してるじゃないか」鈴瑚は首を撫でた。清蘭も少し、気持ち悪そうだ。
「『あなたの希望は、もうないのよ』?――仕方ないじゃない。仕掛けてきたのはあなた達だし」「しかも斬首に興奮してた」「やってみたら、案外快感だったのよ」「おっかないな」鈴瑚は呆れている。「あなたも一辺、やってみる?」鈴仙が首を、指で横に撫でた。「いや、やめとく」
「私はその点、健康そのもの――そういや、一回死んでるな。守備力が2,000以下だったからね」「『困った時は永琳に投げる』ね。私だって巻き込まれたわよ。二回も溶かされるとは思わなかったし」悪い悪い、と軽々しく謝りながら、てゐは頭を掻いた。全員がため息を吐いた。
「それに、『首が折れればやはり死ぬ』も危なかったじゃない。私がいなかったら確実に死亡カウントが一つ増えてたわよ」「ああ、そうだった。あの時は随分とお客さんが来たね」てゐが首を押さえた。「どうも、私らは首のトラブルにご縁があるね」「斬る?」「だから嫌だって」
「まあ、それはともかくとして。鈴仙、君だけずるいんじゃないか」「ずるいって?」「専用のモーションが一杯あるじゃないか。手首を振って銃を出したり、スピンさせて消したり、赤いマフラーをたなびかしたり」「格好良いでしょ?」「くそう、私だって何か良い格好したいぞ」
「十分アクションしてると思うけど?」「ほら、『私には仲間がいた』とか」「アクションだけなら『あなたの希望は、もうないのよ』も良いけどさ」「やっぱり首斬りたい?――いいわよ?」「何で君は、そんなに首を斬られたいんだ」鈴瑚はヒいていた。「ちょっと、快感かもって」
「幕間じゃなきゃ正気を疑われるな」「私は、専用モーションとかはないかな……?」清蘭が首を捻った。「いつも狙撃銃を持ってるのが十分専用だと思うけどさ」「そっか。そうだよね。あの時、鈴瑚の頭をパァンした時は気持ちよかったな」清蘭と鈴仙が顔を見合わせて、笑った。
「『二つのリング』か。……いや、清蘭まで何を言い出すんだ」「その後はすごく悲しかったけどね。『機械のあなた』もそんな感じ」「私は君の助けになったかい?」「うん」最後は嬉しかったよ。清蘭はにこにこしている。「あんたらは物騒な話しかできないのかね」てゐが呆れた。
「そうでもない――と思うけどな。『幸せの兎』とか」清蘭が耳を立てた。「あの時は楽しかったね」「ああ、鈴瑚がいくじなしだった奴ね」「あれだけお膳立てされて、何もできないってのはちょっと、ねえ?」鈴仙とてゐが、鈴瑚をいじめている。「――むっ。いいさ。他にもある」
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