ハーメルン
山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜
トレーナー「たった四度のその先へ」
広い草原の中に大きく身体を投げ出して横たわっている。涼やかな風が頬を撫ぜ、とても心地よい。
しかし、面倒な事が一つだけあった。
「たった四度の走りで終わる筈だった伝説の先を、見たくはないか?」
桜木「お?んだそりゃ」
誰の了見を得て人の夢に邪魔してきてんだ?この謎の声は、おちおち夢心地ですら居られない。
桜木「っっっ.........!!!??」
しかし、後ろから感じる横に吹き抜けて行く風は、先程の風よりも、胸を熱くさせた。背中から広がる様に身体全体を燃やす様な熱風が、確かに俺の後ろを横切ったのだ。
何かを感じ振り返ってみるも、残っている物は何も無い。それでも、謎の声が言わんとする事は分かる。
桜木「こんな.........こんな凄ぇのが.........たった四回.........?」
10では足りない。たった一度でも走って見せれば、必ず万人の目を引く事が出来る。誰も目を離す事が出来ない、胸を熱くさせ、焦がれさせるような速さ。脳裏に浮かぶウマ娘のシルエットが、俺の決意を燃えさせた。
桜木「.........全く、こっちはマックイーンとの天皇賞があるって言うのに、そんなもの押し付けんなよ。三女神さんよ」
恐らく、その類の存在。じゃなきゃわざわざこんな事が俺の夢で起こるわけが無い。俺は夢を見ても結構忘れるタイプだ。
桜木「けど、良いさ。四回きりなんてさせない。10回も20回も、あの風の様な速さで、全員釘付けにしてやる」
ーーー
桜木「.........んぁ......」
鳥のさえずりが聞こえてくる。カーテンの隙間から差し込む日差しが暖かい。さっきの夢をはっきり覚えてると言うことは、そういう事だ。
ベッドから地面に足をおろし、白銀を踏まない様に移動する。
桜木「.........そうだ......これ.........消費せんと.........」
冷蔵庫を開けて中身を確認すると、昨日届いていた北海道限定炭酸飲料。KIRINガラナが一面に敷きつめられていた。高校時代毎日の様に飲んでたからってこれはねえぞ母ちゃん。
桜木「.........頑張って飲むか.........」
諦めも早々に、顔を洗い、歯を磨く。テレビはどうせ面白い事はやってないので、携帯で天気を確認し、服装を整え、学園へと向かった。
ーーー
学園の職員玄関から入り、右に曲がってすぐあるドアを開ける。学園に三つほどある内の新人トレーナーが集まる職員室だ。俺の仕事場も大抵ここだ。
桜木「おはようございますー.........早いっすね桐生院さん」
桐生院「はい!ミークの為にも頑張らなきゃって考えたら早起きしちゃって.........」
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