ハーメルン
山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜
トレーナー「変わっていく為に」






桜木「え?選抜レースにライスが出るのか?」


ウララ「うん!!」


 珈琲の匂いが漂う昼休みのチームルーム。コンロの火を消して、卵焼きを可愛いキャラクターがデザインされたお弁当箱に詰め込み、蓋をしていると、お昼ご飯を食べ終わったハルウララが、思い出した様にそう言った。


タキオン「トレーナー君。お昼のお弁当箱はここに置いておくよ」


桜木「へいへい。カフェテリアで食えるのにわざわざ俺の手料理なんざ食いてえなんて、相当物好きだな」


タキオン「カフェテリアは待ち時間がある。私はその時間も研究に回したいんだ。それは持って行ってもいいんだろう?」


 コイツはなんでさも当たり前の様に俺に飯を作らせているんだろう。コーヒーに砂糖とミルクをふんだんに使い、ずずずと飲む。
 アグネスタキオンはお昼に食べたであろう弁当箱と薬の入ったビーカーを置く。飲むよ、飲みますよ。飲むからちょっと待ってくれ。


マック「ありがとうございました。トレーナーさん 」


桜木「そしてちゃっかり君も俺の手料理を食べたがるのね.........」
 

 キッチンの洗面台にお皿を下げるマックイーン。彼女の言い分では、トレーナーさんが食事を管理した方が、自分で注文するより確実なのではと、タキオンの弁当を見て思い付いたらしい。


マック「トレーナーさんの味がしましたわ♪」

 
桜木「恥ずかしいからそういう言い方は止めてほしいんだが.........」


 この子は最近、なにか吹っ切れたのか知らないけどこういうアタックが激しくなった気がする。女性経験が少ないんだ。からかうのはいいが、勘違いするから自重して欲しい。
 そう思いながら一度置いた珈琲に口をつけようとすると、何とも言えない味が口に広がる。


桜木「タキオンさぁ.........」


タキオン「さっさと飲まない君が悪いのさ、モルモット君?」


 彼女の手元には飲みかけの珈琲。してやられたということだ。
 諦めて、手元のビーカーに入った変な色の薬を飲み干した。最近、黒津木の奴とも共同研究しているらしいし、身体に危険は無いだろう。


タキオン「それにしても、ウマ娘の能力算出計算式が、こうも難解だとは思わなかったよ」


桜木「ああ、お前はあれに当てはまらないからな.........確実に全てを証明できなきゃ、数式の公式としては扱えないだろ.........これもうちょい美味くならない?」


 当てはまらない。そう、アグネスタキオンは能力算出計算式の公式に当てはまらないのだ。あの細い足からは弾き出された計算より、格段と早く、そして強い走りが出来る。
 だが、その数式を今解く事が出来る男は一人だけ。そう、親友の一人、神威創だけだ。


桜木「独学であそこまでやろうとするんだから、狂気の沙汰だよな。昔からアイツのやり込みって怖い所があると思ったんだよ」


 無双ゲームでは全武器、全キャラ、全パラメータをMAXにして、武器のステータスやら特殊能力やらもMAXにする。もうやることないでしょって思ってたのに変なやり込みを見つけ出す。控えめに言って頭がおかしかった。あんな方天戟を早送り見たいに振るう呂布なんて見たくなかった。

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