ハーメルン
山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜
タキオン「私は見たんだ!!トレーナー君が恋人と電話している所を!!」
桜木「.........?」
目を覚ましたのは朝日が照りこみ、眩しさを反射する白のベッドの上。鳴り響く時計の音はいつも不快に感じるが、何故だか今日は、助かった気がした。
桜木(俺、なんで泣いてんだ?)
頬が風に対して敏感に反応する。触ってみると、部分的に乾燥しているのがわかった。
思い出せる事はただ一つ。夢の中では、雨が降っていたという事だけだった。
桜木「雨が降ってたな.........」
白銀「あ.........?雨なんざ降ってねえだろ.........」
床下から聞こえてくる親友の声。こいつの事だ。きっと俺の事をバカにしてくるに違いない。
桜木「いや.........雨だよ」
白銀「あっそ.........」
そう言うと、やつはこの暑さにもかかわらず、タオルを上からかぶり、そのまま二度寝し始めたのだった。
ーーー
タキオン「〜♪」
時間は大体、二時間目の授業の後半辺りだろうか。最近では手詰まりかけていた研究が協力者によって急展開を起こし、目まぐるしい急速な発展を遂げ始めている。自然と鼻歌を歌ってしまうのも無理は無いだろう。私だって生物だ。そういう気分の日もある。
そんなまだ他の生徒が授業を受けている廊下でふと、聞き覚えのある声がチームルームから聞こえてきたんだ。
タキオン(この声はトレーナー君か。誰と話してるんだ?)
桜木「うん。うん、ハイハイ。だから元気だって。心配しなくたっていいよ」
相手は一体誰なのだろう?彼がこんなにも優しい声で対応しているという事は、親密な関係者に違いない。
そう思い、扉にピタリと耳を当て、彼の声が聞こえやすいよう、微調整を繰り返した。
桜木「いつも助かるよ。うん、ありがとう」
タキオン(ここだけ聞いていれば、普通の会話だねぇ.........何か彼の弱みとかを握ることが出来れば、多少は扱いやすくなるとは思うんだが.........)
ここ最近の彼の行動は割と大人しめだが、またいつ、以前のように私の調合薬を躊躇なく飲むような凶行に走るか分からない。
そう思って耳を立て続けていると、彼は驚愕な一言を放った。
「またね、『あおちゃん』」
タキオン「え」
タキオン(ー!?)
あまりに衝撃が強すぎて、ついつい文字の頭が顔を出してしまったが、両手で口を抑えて何とか危機を脱した。
あまりの急展開に思考が停止してしまっていたが、彼の足音が近付いてくる。
タキオン(まずい、直ぐにここから離れなくては!)
いや、別にやましいことなどは無いんだが、人の通話を盗み聞きしたという事実を知られるのはやはり、どこかバツが悪い。
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