ハーメルン
山あり谷ありウマ娘 〜気付いたら脱サラしてトレーナーになった話〜
トレーナー「俺この仕事向いてなくね......?」

桜木「あーー.........言っちまったーーー.........」


 トレセン学園からほど近いボロ屋のアパートの一室。畳まれた布団をクッションに帰ってきたその身でそこに倒れ込んだ。
 あの後、映画のワンシーンの様に何も言わずに走って帰ってきてしまった。例えるならカリオストロの銭形警部見たいな感じで。
 だがそれ自体はどうでも良いのだ。彼女。駿川たづなさんに言ってしまった。メジロマックイーンが気になっていると。まるで告白した時のような高鳴りを感じた。これが恋?


桜木「ゴルシは浮気を許してくれるだろうか.........」


 今日初めてあったおもしれぇ(マジモン)女の姿を思い出す。まぁ許してはくれないだろう。今日初めてあったばかりだが。
 何をのたまってるのかと思いながらも、そう思わなきゃやってられない。理事長秘書に気になっているウマ娘を伝えたのだ。次の日にはもう「お、あの子の担当になるんだな」と彼女も理事長も思う筈だ。もう逃げれない。


桜木「才能をくれ.........女の子とお喋りできる才能を.........」


 落胆しながらも、流石にこのまま寝るのは不味い。簡単に冷蔵庫に入っている食材で夕食を済ませた後、風呂はボロ屋で付いてないので着替えを持って近くの銭湯へと足を運んだのだった。










 ーーー










桜木「あーーーマックのハンバーガーとコーラはガキっぽくてうんめぇー」


 学園でやる事は変わらない。書類の整理を粗方終え、隙を見てウマ娘の雑誌を読み、お昼が来れば昼食を食べる。変わった事は二つ。大人臭いメニューから今日は子供に大人気マクドナルドのハンバーガーに変わった事。今まで掛けてこなかったサングラスを朝から掛け続けて居るという事だ。
 あれから作戦を練りに練り上げたのだ。こうなれば無理矢理にでもテンションを上げるしかないと、昔はあまり金銭的理由で食べれなかったマクドナルドのハンバーガーを頬張り、ウマ娘をサングラスというフィルターで視認すれば何とかなる.........筈だ。


ゴルシ「お?おーーーい!!おっちゃーーーん!!」


桜木「おー、ゴールドシップ。昨日ぶりだな」


 声のする方向を見てみると、ゴールドシップが割と勢い任せに走り込んで来た。身体の動きを見てもやはり、特出すべきはその足だろう。
 分析しようと見てみるが、もう既に他のトレーナーさんの元でトレーニングを行っているのだ。あまりそういった事をするのは常識外れだろう。足に移した視線を顔へと戻した。


桜木「昨日はありがとうな、マックイーンを紹介してくれて(遠目で見ただけなんだけど)。ほれ、お礼にこれやるよ」


ゴルシ「お?んだこれ、見た事ねえぞ」


 おー、マジか、見た事ないのか.........駄菓子の中で言ったら割と有名な奴なんだがな、まさか駄菓子自体を知らないんじゃないのか?
 そう思いながら尻ポケットからココアシガレットの箱を取りだし、箱中から取り出した棒を咥える。するとゴールドシップはギョッとする様な表情で隣から離れた。


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