罪の清算始まりの物語
—————許されよ、我らが罪を許されよ
心優しき彼への仕打ちを…
私達を信じてくれた彼への凌辱を…
醜い化け物であったがために信頼を踏みにじってしまった、我ら…いや私の罪を
元の世界を敵に回しても私達のために命を懸けてくれた彼への恩を
だが、この世界ではもう手遅れだ。
何もかもが終わってしまったこの世界では、彼は救えない。
そもそも救うべきでは無かったのだこんな世界は…
全てが手遅れ、この世界では贖罪の機会など二度と訪れない。
それは一瞬の出来事だった。
カルデアが我らが聖都に攻め込んできたその知らせを受け慌ただしく狼狽える妖精共。
その喧噪の中私を狙った攻撃から、私を庇い幾重の剣をその身に受け、激痛で既に意識すらない彼はそれでも私を守るために、その身を盾とし私の前に立ち塞がる。
恩を仇で返すようなこんなにも醜い世界のために仲間を裏切り、力を貸してくれた一人のマスターを、この世界は裏切った。
腹部から流れ落ちる血は止まることを知らぬ川の流れのように絶えず流れ続けている。
足元には血だまりができており、奇跡が起きたとしても彼は助かることは無いだろう。
30秒いや後10秒も経たずに目の前の彼は事切れるだろう。
今の私が彼にできることは無い。
それを痛い程に痛感してしまう。
私達に力を貸した末の結末がこれか…
「あぁ、だがもう二度とこの道を辿る事の無いように…せめてもの贖罪を彼に・・・ぐっ」
彼の体をも貫き私にも剣が突き刺さっているが、関係ない。
もうこの世界の結末も星の結末さえもどうでもいい。
この地の魔力全てを使っての最後の魔術。
私のために全てを掛けてくれた彼のために、この星のすべてを使って彼へと返そう。
二度とこの道を辿らぬように....
「まだ見ぬ貴方に祝福がありますように・・・・」
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皆さんいかがお過ごしでしょうか、俺こと比企谷八幡は今日も今日とて、窓の外から見える猛吹雪の中、よくわからん施設で昼寝をしています。
ここがどこかと聞かれれば答えて上げよう世の情け、なんてジョークは置いといて、ここは人理継続保障機関フィニス・カルデア。
簡単に言えば、未来の人類社会の存続を世界に保障する保険機関のようなものらしい。
で、そんな所になぜ俺がいるのかと聞かれれば、その未来が観測できなくなったらしくその原因を調査するために色々な所から人を集めているらしい、その中の一人に選ばれたのが俺だったらしい。
まあ、詳しく言えば俺では無く、俺の魔術の方を目当てにした勧誘だけどね。
ほんとは受ける気なんて微塵も無かったのだが、未来が消えるという事は小町の制服姿を見ることができなくなるという事に気づき、参加せざる負えなくなったという事だ。
そんなこんなで来てみたはいいものの、俺の役割はあくまでAチームのバックアップ係なのだ。
なので、他のAチームの奴らと比べればすることが無く暇なのだ。
それにあいつら全員一癖も二癖もある奴らばかりで、ただでさえ友達がいない俺からすればあんな奴らと友達になるくらいなら一生ぼっちのままがいいとすら思う。
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