第6話 ようこそ、水々市冒険者ギルド04支部へ!
「着いたぜ。ここが水々市の冒険者ギルドだ。
まあ、正確には水々市にいくつかある支部の一つだがな」
ダンジョンを出てしばらくぶりの日本の街を堪能すること数分。
ワタシたちは冒険者ギルドに着いた。
冒険者ギルドと聞くと、異世界の知識があるせいで石やレンガ、木材で出来た中世風の建物をイメージしてしまうが、ここはそんな古典的なギルドではなく、普通にコンクリートでできた小綺麗な建物だった。
正面に【水々市冒険者ギルド04支部】と木製の看板がデカデカと出ているのが多少違和感があるくらいだろう。
入り口は普通の建物と同じで自動ドア。
うむ、やはり現代技術は素晴らしいな。
異世界では自動ドアなんてなかったからなぁ。そればかりか自宅は無駄に重厚な扉ばかりだった。まあ、あれはあれで味があってよかったけどね。
建物の中に入って、内装を確認すれば、一言でいうと市役所みたいな感じだった。
天井には案内のプレートが吊り下げられ、窓口には番号が振られている。
ただ、ギルドに併設されている酒場には屈強な男たちがたむろしており、まだ日も高いというのに、ビール片手に騒いでいる。うーむ、なんたるミスマッチか。
いや、これが今の日本の普通なのだろう。むしろ違和感を覚えるワタシが異端者なのだ。
「先程のダンジョン管理所もそうでしたが、我々が居た世界とはだいぶ建築様式が違うのですね。興味深いです」
「そうだな。まあ、こちらの世界の冒険者にも荒くれ者が多いみたいで、なんだか妙な安心感を覚えるよ」
「嬢ちゃん達、こっちだ」
赤坂さんに案内されて01番の受付に行く。
受付には元気そうな受付嬢が居て、幼さの少し残る可愛い顔立ちにニコニコと人懐こっそうな笑顔を浮かべている。
他の受付嬢も同じような服装をしているが、ファンタジー色の強い、茶色を基調とした落ち着いた色合いのゆったりとした袖口の広い服装で、頭にはメイドさんがつけているようなプリムも乗せている。ここの制服なのだろう。
建物が現代的だし、ここは日本なので、ギルド職員の服装はネクタイをきっちりと締めたスーツ姿なのかと思っていたが、意外と違っていた。
変に前々世の記憶があるせいで、日本でこういう服装を着ている人を見るとコスプレみたいに感じてしまうなぁ。
「こんにちはー、赤坂さん! あれ、今日はイシギダンジョンの攻略じゃなかったんですか? 随分と早いお帰りですけど……?」
「いやなに、途中で珍しいもん拾っちまってな」
そう言って赤坂さんは親指でクイッとワタシを指差す。
「おやおや? おやおやおや~?
なんともまあ可愛らしい女の子ではありませんか!
……はっは~ん。赤坂さんにもついに彼女が出来ましたか。隅に置けませんね~、このこの~! 大丈夫です、彼女と言うよりも父と娘といった感じですが、愛に年の差は関係ありません! 20~30歳くらい離れていたって無問題デスッ! なんならそういうほうが愛は燃え上がるのです!
年の差カップルの漫画はSNSでも結構人気高いんですよ!」
受付嬢はなにやら壮大に勘違いをしているが、どうやらいつものことなのだろう。赤坂さんが慣れた様子で「んなわけないだろ」と一蹴した。
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