ハーメルン
ラスボス?いいえクソ雑魚幼女です~元社畜の異世界幼女生活~
07.かしこさ1の異世界コミュニケーション(完)


◆ムティーニ村へと続く街道 ~とある騎士隊長の回想~



街道での警邏(けいら)の際に、妙な男を捕らえたのが始まりだった。


「止まれ!何者だっ!」
「た、助けてくれ……っ!こ、殺されるっ!」


こちらに駆け寄ってきた不審な男を尋問すると、どうも男はこの近辺で活動していた野盗の集団のメンバーらしい。そんな人間が何故、我々(騎士団)に保護を求めてきたのか。


「……ジャガーノートを操る少女?」


男は錯乱しているのか、怪しげな薬でも服用しているのか。男とその仲間達は自らが襲撃した村で、"深き森の守護獣"とも呼ばれるジャガーノートに騎乗した少女に襲われ壊滅したとの事らしい。

ここ数年、国内で目撃情報すら無かったジャガーノート……ましてや、それを操る少女の存在など到底信じられる話では無かったが、罠にせよ何にせよ、この先の村で何かが起こっているのは間違いないだろう。騎士隊長はそう判断を下すと、野盗達が返り討ちに遭ったというムティーニ村へと馬を走らせるのだった。










◆ムティーニ村にて



「なっ……ジャ、ジャガーノート!?まさか本当に人里まで下りてきているとは……!」


村の入口から見えた光景に、部隊に緊張が走る。広場で呻き声を上げながら転がっている無数の野盗達。その中心に"それ"は悠然と立っていた。



光すら飲み込むような漆黒の毛皮に包まれた強靭な肉体。

眼差しに射抜かれただけで身が竦みそうな異形の六つ眼。

威厳すら感じさせる強烈な存在感に騎士達の何人かが手を震わせるのも無理はないだろう。





「……ぴぃ?」


しかし、騎士隊長はジャガーノートの存在よりも、その隣に立っている銀髪の少女に意識を奪われていた。


「グルルルル……」
「ぴぃっ」
「ヴォフ」


こちらに飛びかかろうと身体をたわめていたジャガーノートが、少女の声に反応するように殺気を僅かに緩めたのを感じる。


……あの子供が、野盗の言っていたジャガーノートを従えるという少女か。


銀髪の少女を護るように、二頭のグレイウルフが彼女の周囲を固めたのを見て騎士隊長は確信する。


―――あの娘は普通の子供ではない。


「……隊長、どうしますか?」
「俺が指示するまで攻撃はするな。下手に刺激して暴れられたら周囲の村人にも被害が及ぶし、あの娘が敵対的な存在かどうかも分からん」


騎士隊長は剣を鞘に納めると、銀髪の少女に向かって叫ぶように問いかけた。


「私は王国騎士団所属の騎士隊長モーブ!ジャガーノートを従える少女よ、君は一体何者か教えてはくれないだろうか!」





「……ぴぃ?」

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