トレーナーの仕事を辞めた場合~ナリタタイシン②あなたを迎えに行くから
しばらくして私に新しい臨時のトレーナーも決まった。
このまま担当のトレーナーが不在のままではまずいという学園側からの判断だったのだろう。
しかし私にとっては正直どうでもいいことだった。
私にとってのトレーナーはあの人だけだから。
一方で新しい臨時トレーナーはとても親切でそして教え方もわかりやすかった。
それもあってか、いなくなってしまったトレーナーとの日々を忘れるように私はトレーニングに没頭した。
周りからは心配の声もあったがトレーニングをしている時は嫌なことを忘れられたので特に気に留めてなかった。
その努力もあってか私はGIレースでも結果を出すことができた。
だけど私の中に空いた心の穴が本質的に埋まることは決してなかった。
会いたいよ。トレーナー…
その私の本心が満たされることはなかった。
トレーナーがいなくなってしばらくが立った日、私はまたしても理事長室に呼び出されていた。
いったい何だというのか。
「失礼します」
「歓迎!よく来てくれた」
「それでわざわざ私をよんだのはなぜでしょうか」
「質問、君は最近毎日に満足しているか?」
いきなり呼びつけておいてそんなことを聞くためだったのか
「別に普通ですけど、わざわざそれを聞くために理事長室まで呼びつけたんですか」
「否定!だがこの質問への君の本当の答えを知りたい」
「疑問!君は本当に毎日を楽しんでいるのか?」
「解答!君の先ほどの疑問への答えだが、ビワハヤヒデとウイニングチケットから君が最近元気がなくてどうにかしてやってほしいと相談を受けてる」
「もう一度聞く!君は今の現状に本当に満足しているのか?」
私が今の現状が楽しいかって?
そんなの違うにきまってる。
あの日トレーナーがいなくなった日から私の毎日は完全に色あせてしまった。
会えるなら会いたい
けれど居場所すらわからない私にはどうすることもできない。
「…不満ですよ」
「トレーナーは私を捨ててどこかにいなくなった。
会いたいですよ!会って謝りたいよ!
けどもうどうすることだってできないじゃないですか!!!」
「提案!だったら会えばいい!」
何を言い出すかと思えば理事長からは会えばいいといわれた。
私はその言葉を聞いて腹が立ってきた。
会えるのならば会いたいにきまってる。
けど肝心の居場所がわからないのにどうやって…
そんな無責任なことをいう理事長に失望し部屋を後にしようとしたその時だった。
「謝罪、調べるのに少々手間取ってしまった。興信所に依頼して先日トレーナーの居場所がやっとわかった」
トレーナーの居場所が分かった?
理事長は確かにそういったのか
部屋を出ていく気だった私の気はすっかり失せ、その話に飛びついた
「本当なんですか、その話」
「肯定。しかしこの話をしたのは今君が初めてだ。また今後も第三者に広めるつもりもないだから他言無用でお願いしたい。」
「そんな大事な話私にしてもいいんですか?」
「肯定!君だからするんだ。トレーナーと最も親しかった担当ウマ娘である君だからこそだ。そしてトレーナーを可能だったらこの学園に呼び戻してほしい」
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/2
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク