ハーメルン
最終到達点『ロドス』
EP.04 合縁奇縁


 笛の用途は何だろうか。形からして動物用と思える。あの鳥類生物を呼ぶ用なら吹き鳴らす必要は無いな。反響からして近場に三頭とも倒れ伏している。内二頭は呼吸が完全に止まり、残りは辛うじてだが生きている。
 彼の鳥は錆びだらけのサーベルより利用価値がある。生かすのも良いだろう。彼の速さはとても魅力的だ。

 件の一頭は倒れ伏す仲間の体を甲斐甲斐しく突っついている。私が近付けば其の鳥は弱々しく警戒音を放つ。私は構わず鳥を担ぎ上げて岩場まで運んだ。抵抗する力も無いのだろう。暴れずに大人しくしていた。
 さて、見たところ体は痩せ細っておりとても軽い。此の体格ならば相当な筋肉を持っていた筈だ。水分も殆ど失っているらしく体に熱がこもっている。此の消耗具合は三日は水分も糧も与えてないようだ。大層な無茶をさせたものだな。

 水筒を取り出して蓋を開けると、間髪入れずに嘴を突っ込んでビチャビチャ溢しながら全部飲み干しやがった。お前其れ水筒の口が大きかったから良いものの、嘴が入らなかったらどうするつもりだったんだ。
 燻した肉を与えようとしたら、犬っころどもが恨めしそう喧しく吠えてきた。無視無視。
 犬っころどもに体を囓られながら与えると、忙しなく飲み込んだ後微妙そうな顔をしていた。ふてぶてしいなお前。笛を持つと嫌そうな顔をして弾いてくるし人格持ってるだろ。鳥ってこんなに賢いものかね。



***



 Tips.砂漠の村
・此の荒れ果てた大地に唯一滞在している集合体。川辺に密集し僅かに得られる糧で慎ましく生きていた。住民の体は特殊な構造をしており、僅かなエネルギーで一週は飲まず食わずで生きていける。主人公と冒険家は大飯食らいと疎まれていた。

 そんな村にも天災は平等に降り注ぐ。此の大地に安息の地など無く、留まることは破滅を意味することを住民たちは忘れていた。決して足を止めてはいけない。



***



 夜明け頃に腹に妙な蒸し暑さと圧迫感を感じて目が覚めた。岩のごつごつした天井から目線を下げると、黒い毛の鳥野郎が私の腹の上で寝ている。布団か何かと勘違いしてない? てか普通立場逆だろ。何してんだこの糞鳥。
 背筋で弾けば鳥野郎は文句を言うようにギャワギャワ騒ぎ立てる、が無視。朝から無駄な体力を使わせるな阿呆。

 錫杖を掴んで空を見た。天候はカンカン照りの晴れ。少々の風が吹き、時々砂埃が舞う程度だ。鳥野郎は歩けるぐらいには回復している。私が乗って走らせるとなると痩せ細った脚では潰れてしまうが、バッグを乗せる程度なら大丈夫だ。
 鞍にバッグを固定して手綱を引き山に向かって歩んでいく。遠くに山の麓が見える。今日か明日には着くだろう。目的地が近付くに連れて高揚感が滲み出してくる。彼処に何が有ろうと此の旅路の一区切りとして分かりやすいだろう。此の地を横断せし者は中々居るまい。……彼の冒険家も此のように歩いたのだろうか。何の意義があって此の大地に来たのか、今となっては知りようが無いがな。

 日が昇り、天辺を過ぎた頃に鳥野郎がバテてきた。何くそと必死に隠しているが足取りからしてバレバレだ。休憩させるか、と立ち止まればまだ行けると言いたげに手綱を引っ張っていく。変に意地っ張りだ。
 まあすぐにへばったが気骨のある奴よ。全盛期はさぞかし強い個体だったのだろうな。偉そうな態度からして長でもやってそうだ。

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