ハーメルン
鋼鉄の戦女神と夢駆ける少女達
第9話『憧れの人』





―side:Akari―



「―という訳でスペがウチのチーム(チームワルキューレ)に入る事になったから皆も宜しくね」
と私はチームルームに来たテイオー達にそう告げた。そう、我らがチームワルキューレに道産子(スペ)が加わったのだ。
「歓迎するよスペちゃん!」
「ありがとうございますテイオーさん!」
テイオーは勿論、ライスとマヤノも歓迎ムードで何よりだね。
「さて、今日のトレーニングに関してだけど…スペは此処に来るまでトレーニングの経験とかある?」
「はい、元トレーナーだったお母ちゃんからレースに向けてトレーニングを受けてました」
レースに関するトレーニングは一応経験済み、か…だけど問題はレースだけでない…ウイニングライブもだ。
「歌とダンスは?」
私の言葉にスペは記憶を辿った末に
「歌とダンスのトレーニングはしてなかったよお母ちゃん…」
と北海道にいる養母に向けてそう呟いた。
「経験なし、か…」
このままだと仮に3着以内に入ってウイニングライブをする事になった時、棒立ちで歌えてないって事にもなりかねない…嘗てはスクールアイドルのマネージャー兼実質的なコーチ役だった身としてそんな状況など流石に受け入れられない。
「よし、ならば歌とダンスのトレーニングもしないとね」
そんな事を話していた時だった。
「調子はどうだ?あかりさん」
沖野さんが私の元を尋ねてきた。
「まずまずといった感じかな。今日は新入りの娘が入ってきたし。スピカのみんなもレース"は"調子良いみたいだね」
「"は"って…おい、よく見たらその新入り、リギルの入団テストにいた…スピカ(ウチ)にスカウトしようとゴルシ達に連れてくるよう頼んで、当のゴルシ達が何処にも見当たらないと言っていたと聞いたがまさか此処にいるとはな…いや、なってしまった事は仕方ない」
そろそろ話を切り出さないと終わりそうにないかな…
「沖野さん、こうやってわざわざ尋ねてきたという事は何か頼みでも?」
「お前も知っているだろ?ウチのチームのウイニングライブの結果を」
「まともに歌えてたのがスズカだけのやつね」
「ウオッカとスカーレットは他の娘とぶつかったりするし…」
「ゴールドシップさんに至ってはマイペースすぎて…」
「何か他の娘達とは全く違う振り付けで踊ってたよね。あれってブレイクダンスだよね」
テイオー、ライス、マヤノが言う通りだ。テイオーのデビュー戦の前にゴルシ、ウオッカ、ダスカのデビュー戦があったから見たけどさ…あれ、他の娘達は困惑していたよ…レースはともかくウイニングライブが…ね…
「実を言うと俺はダンスに関しては教える程の知識と腕がなくてな。そこでお前さんの所のテイオーに歌とダンスのコーチを頼めないか?」
「私は別に構わないし、私も面倒を見る事ならできるし何だったらウチもダンス練習をするつもりだったけどテイオーはどう?」
「ボクも全然構わないけど…あかりさんは良いの?」

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