隠し事
「本日は貴方をスカウトに来ました。ハルカ・ミナトさん」
もうスカウトの日か。あっという間だったな。
スキャパレリプロジェクト始動・・・か。
「あ、申し遅れました。私、プロスペクターと申します。以後、お見知りおきを」
秘書課にいたミナトさんのもとへ大男ゴート・ホーリーを連れたプロスさんがやって来た。
・・・本当にゴートさんって仏頂面なんだな。
「えぇっと。何のスカウトですか?」
そうだよな。突然過ぎて分からないよな。
「少しお時間を頂けますか?」
「はぁ。構いませんが・・・」
困惑気味でこちらを眺めてくるミナトさん。
俺はそんなミナトさんに頷いてみせた。
大丈夫ですよって。
それが伝わったのか、ミナトさんも笑顔で頷いてみせてくれた。
「あ。マエヤマさんも良いですか?」
・・・ずっこけさせてくれますね。プロスさん。
あのミナトさんですら、呆気に取られていますよ。
「コウキ君?」
「あ、はい。分かりました。行きましょう。ミナトさん」
とりあえず付いていくとしますか。
「それでは、私が戦艦の操舵手、コウキ君がパイロットですか?」
・・・まいったな。パイロットかよ。
俺の計画では副操舵手だったんだけどな。
「はい。以前、マエヤマさんには断られてしまったのですが。やはり諦め切れず」
「え? 本当なの? コウキ君」
驚いた顔でこちらを見てくるミナトさん。
ま、そりゃあ驚くよな。
「ええ。結構前ですけどね。俺のどこにパイロットの適正があるんだか・・・」
「御戯れを。貴方は出したじゃないですか。トップスコアを」
「トップスコア? どういう事? コウキ君」
「何ていうんですか。ちょっと幼心に刺激されましてね・・・」
何かゲームセンターで遊んでいたって言うの恥ずかしいよな。
なんて、俺がもたついていると・・・。
「もう、ハッキリなさい!」
一喝。
「は、はい! ゲームセンターでシューティングアクションゲームをした所、トップスコアを出してしまいました!」
ミナトさん。怖いです。抗えません。
「シューティングアクションゲーム? そのトップスコアでパイロット適正を計ったんですか? それはちょっと・・・」
呆れるミナトさん。そうですよね。呆れますよね。たかがシューティングゲームで・・・。
「いえいえ。あれは唯のゲームじゃないんですよ。我が社が開発したシミュレーションの技術を存分に注ぎ込んだ特別製なのです」
「えっと。あれですか? G設定とか。確かに本格的でしたけど」
「その通りです。あれは実際にかかるGとほぼ同等のGをパイロットに負荷させます」
それって下手すると失神するんじゃ・・・。
「あの状態でのスコアは本番でのスコアと同等。いえ、それ以上かもしれません。当時は機体の方に問題がありましたから」
良くそんな状態のゲームを普通のゲームセンターに導入しましたね。
「あそこは我が社が経営しているゲームセンターです」
「えぇっと。顔に出ていました?」
[9]前話 [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/10
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク