ゆめ うつつ
まだ日が高い昼下がり、魔導の塔と呼ばれるこの国の魔法使いが日々研究に勤しむこの施設の最上階。そこに作られたテラスで俺とメロディア様は午後のティータイムを楽しんでいた。
何故そんなところで、と思われるかもしれないがこの魔導の塔の仕組み的に上にいけばいく程に施設が整っており、国に貢献した魔法使いはそこに個室を与えられる。まぁ、研究室だな。武器を持って日々体を鍛える戦士とは違い、魔法使いは文学の分野でもある。勿論フィールドワークとして各地に赴いたり、研究の一環で実験として外で魔物と戦ったりはするが基本はペンと紙を使って理論立てた研究だ。
そこで話は戻るのだが、より上位の魔法使いになれば研究するのにも機材などの都合でスペースが必要になる。時間も掛かり、丸1日……いや何日もそこで過ごすことも頻繁に起きうる。たがらこそ有能で貴重な魔法使いには集中して研究して貰おうと何代も前の王がこの施設を用立てた。最初は不便だったらしいがな? そらそうだ、上に行く程より良い設備を~って施設や何やらがかさ張ってどうやって持ち込めってんだ。そこで最初の賢者様が考え出したのが昇降機っていう自動で上に登る事の出来る乗り物だ。これおかげでクッソ重い実験器具や素材についでに人をいとも簡単に運ぶ事が出来るようになったんだ。正直な感想で言わせて貰うと……この発明が無かったらこの施設早々に廃棄されてたんじゃねぇかな?
とまぁ、そんな施設の最上階は一フロア丸ごと所有物のような扱いになる。ようなっていうか完全にその通り何だけど。
勿論だが俺にそんな力はない。人工精霊の作成に成功して一年たった今も自力は早々上がらない。俺の実力だと下の方で他の魔法使いと一緒に団子になって研究しているだろう。というか普段はそっちだし。人工精霊の作成だけは隠して進めたが……普通俺等のような下級の魔法使いの研究て言うのは隠してやるようなもんじゃない。そんなもん先人がとうに通り抜けた道をなぞっているのが基本だ。かく言う俺も人工精霊の作成は友人の協力無くしては取っ掛かりすら掴めたか怪しい。
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