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双極の丘に恋次の声が響く。
その声に辺りにいた者が振り返るとそこには、磔架から離れた所に恋次の姿があった。
恋次に対し声を掛けるルキアだがその言葉を一護が遮る。
自身の腰付近に抱えていたルキアを振りかぶる一護。
「お…。おい一護っ⁉︎何をする気だ貴様⁉︎」
「待てよコラ…。…てめぇ、まさか…。」
動揺する二人を他所に一護が大きく声を張り上げる。
「受け取れ!!」
一護はそう言うと物凄い勢いでルキアを恋次目掛けて投げる。
辺りにいた者が、刀璽でさえ唖然としてしまうその行動に投げられたルキアは悲鳴を、恋次は罵声を上げる。
「…いや、まぁ。そんな反応になるわな。」
呆れながらもルキアの行く末をみる刀璽。他の面々も動く事さえ出来ずに見ているしかなかった。
普通、助けに来た筈の子を投げるか?とその場にいた全員が思うものの声に出す者はいなかった。
なんとかルキアをキャッチした恋次だが勢いを殺すことまでは出来ず、ルキアを抱えたまま数メートル後ろに転がってしまう。
転がり終え、体制を上げた恋次とルキアの二人から揃って一護に対しての罵声が飛ぶ。
「莫迦者!!一護、貴様ぁ!!!」 「落としたらどうすんだこの野郎!!!」
しかし一護は二人の罵声に耳を貸さず、声を張る。
「連れてけ!!!」
その言葉に戸惑う二人。
しかし続けて一護は恋次へ向けて叫ぶ。
「てめーの仕事だ!死んでも放すなよ!!」
その言葉に恋次の表情が変わり、先程とは打って変わって真剣な表情でルキアを自身の胸に抱え、双極から離れる為に走り出す。
その行動の速さに動き出せない副隊長達に砕蜂が言葉を荒げ、指示を出す。
「何を呆けておるのだ、うつけ共!!追え!!!副隊長全員でだ!!」
その言葉を聞き、副隊長達は自身の上官である隊長の顔を見る。
口には出さない者、明確に指示を出す者と別れたが一、二、四番隊全ての隊長からの指示として副隊長達は恋次を追うために走り出す。
しかし、彼らの前にそれまで磔架の下にいた刀璽、上いた一護が立ち塞がる。
その素早い動きに副隊長達は息を飲む。しかし接敵するまでには未だ距離がある状況で一護が刀璽へ声を掛ける。
「アンタが誰だかは知らねぇが、味方だと思って良いんだよな?」
「何をもって味方とするかによるが、今の状況じゃ敵の敵は味方だろ。ここは俺がやっとくから、てめぇはあっちじゃねぇのか?さっきからずっとてめぇの事見てるぜ。」
一護の問いに答えた刀璽は、そう言いながらルキアの義兄、六番隊隊長 朽木白夜を顎で指す。
刀璽に言われ一護が白夜を見ると白夜も一護を見ていた。
一護が自身に再戦と勝利を誓った相手。
「なら、ここは任せるぜ。」
そう言うと一護は、瞬歩で白夜の近くに移動する。
この状況で京楽、浮竹は副隊長達に同情とも思える感情を抱いていた。
「(僕と浮竹が揃っても歯が立たない師匠相手に複数いるとはいえ、副隊長では歯が立つ筈がないじゃないか。)」
一護とのやり取りの間に副隊長達は目前まで迫っていた。
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