第一話
ハリーに手伝ってもらったのはコクピットモジュールなどのレイアウトや、外見の簡略化や、基盤を保護するカバーのデザイン。それとノーマンさんが満足するようなプレゼン資料、広告用のデザインや、カタログなどの見栄えetc。
サム・ライミ版の2作目、3作目でオズコープを守り抜いた手腕と才覚は折り紙付きで、ハリーの考案したデザインは修正もなく本採用された。
つまり、機器の中身は俺、外側や宣伝はハリーといった役回りで回している。
利益関係は全部ハリーにぶん投げてるし、そのままオズコープで使用する場合は研究員としての給与や補償をしてくれるとノーマンさんからも言質を取ってたりする。高校生にして就職先が決まったぜっ!やったね!!
ぶっちゃけスパイダーマン活動も見据えて利権関係の土台を築き上げておきたかったなんていう邪な気持ちもあったわけだけど、ノーマンさんも画期的な自立支援システムだと絶賛してくれたし、これでグライダーや超人薬に頼らず、軍の需要や他産業への足掛かりになってくれればいいな、と思っていたりしている。
そんなこんなで僅か一ヶ月で専用のラボもできたし、データ運用を見据えたテスト工場もノーマンさんが突貫工事で作ってくれたので、彼が本腰を入れてくれるのも時間の問題である。
あとは、ハリーと俺で得た利益を山分けして、夢の不労所得を得ながら俺は悠々とスパイダーマン活動に精を出せるって寸法なのさ!
そんな机上の空論を脳内で展開しながら、俺とハリーが乗る車はコロンビア大学に向かっている。ラボで朝まで稼働実験を2人でしていて、ノーマンさんが迎えの車を寄越してくれなかったら危うく重要なイベントを逃すところであった。
ハリーはサボって寝たいと愚痴っていたが、無理矢理車に乗せてパンを口の中に突っ込みました。
何か、ピーターの性格変わったよな、と言われたけど気にしない。これもあれも俺の悲劇フラグをへし折るための種まきなのだから、その程度の事など何の問題もないのだ!!
……ないよね?バタフライエフェクトとかないよね?そんな一抹の不安を心の隅で感じながら、俺たちは車から降りてコロンビア大学の入り口へと向かう。
さぁて、クラスメイトに陰口叩かれながらスパイダーマンの能力を得るとしますか!!
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最近、自身の築き上げてきた会社に多大なる貢献をし始めてくれた息子とその友人であるピーター。
若い視点から捉えた着眼点は、技術者や研究者としても高名なノーマンを驚かせるもので、普段は気怠げそうにしているハリーを巻き込んでノーマンの書斎に乗り込んできた上で、自身の設計したものをプレゼンテーションをしていくバイタリティにも、ノーマンは好感を持てていた。
現に彼らが開発した自立支援システムは、オズコープ社内でも試運転が始まっており、作業員や技術スタッフからの評価は上々と言ったところだった。
そんな優秀さの頭角を表し始めてある2人は、ハイスクールの授業の一環で今はコロンビア大学の研究室の見学に向かっている。
朝まで作業をしていた2人の尻を叩いて学校の授業に送り出したノーマンは、今まで共同研究をしてきたストローム博士と共に、大口クライアントであるスローカム将軍の社内視察に同行していた。
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