第十八話
「あぁ、来たぞ。もう諦めて大人しくするんだ、ウルトロン!」
身を屈め、まるで獲物を前にする蜘蛛のように身構えるスパイダーマンに、ウルトロンはほくそ笑んで問いかけた。
《そんな必要など、私にはないのだよ。それに君一人で何ができる?》
辺りにはウルトロンが操る数十のアーマーがいて、その全てが武装している。これほどの戦力差をたった一人でどうにかできるものか。そう見下すウルトロンに、マスクの下でニヤリと笑みを浮かべて答えた。
「……一人じゃないさ」
再び響く糸が放たれる音。風切り音と共に、ウルトロンの背後にあるビルの壁に、白と黒を基調にしたスーツを身に纏うスパイダーグウェンが張り付く。
市民を襲おうとしていたアーマーに突如ミサイルが直撃し、小さな爆発と共にそのアーマーは粉々に吹き飛んだ。ウルトロンが目を凝らすと、フェスティバルの上空を一機のグライダーが旋回しているのが見えた。
すると、ウルトロンの体が急に吹き飛ばされた。乗っていたグライダーから落下し、特設ステージの舞台に墜落したウルトロンが見上げると、バルコニーには4本のアームを背に待つオクタヴィアス博士がにこやかに佇んでいた。
「やぁ、ゾラ博士。いや、ウルトロンかな?機械の体で何ができるか、私が試してやろう」
ステージの上で、ウルトロンは四人に取り囲まれる。
親愛なる隣人、スパイダーマン。彼を支えると誓ったスパイダーウーマン。彼の親友であり、優秀なメカニックでもあるハリーと彼の補助をするAI「ウェンディ」。そして頭脳と作業アームを駆使して戦うドクター・オクトパス。
彼らはヒーローなのかもしれない。あるいはヴィランになる者かもしれない。だが、ウルトロンには関係ない。取り囲む全員が、ウルトロンの……そしてヒドラの脅威なのだから。
《小癪な奴らめ。やはり、どうやっても貴様らのような存在は私をおびやかすか!!》
「いくぞ、みんな!!」
ウルトロンが差し向ける武装したアーマーたち。それに真っ向から向かう四人。ミサイルを躱し、アーマーを引き裂き、爆発と轟音が響く。
ニューヨークの多くの市民たちが見守る中、ウルトロンと四人の英雄たちの死闘が始まったのだった。
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