第二話
コロンビア大学内にある国際研究室。
そこでは、蜘蛛への遺伝子操作関係の研究が行われていた。
研究室の部屋には大小様々なケースが陳列しており、その中には様々な蜘蛛が飼育されていた。
うむ、見る限り不気味だ。
世界最大の蜘蛛種であるタランチュラ類と目があった時は思わず息を呑むほどだった。
一応、学校新聞用のカメラを首から下げているが、進んで撮影しようという気にはなれないし、ハリーもゲェッといった顔で蜘蛛が入ったケースを見て回っている。
とりあえず程度のいい蜘蛛のケースに向けてカメラを構えると、大学の研究員生がなんとも言えない表情でこっちを見ていた。
あー、学校新聞に。そういうと、研究員生はどうぞと目線で答えてくれた。そしてレンズを覗き込んでシャッターをパシャリ。見事にズレる。後ろからフラッシュが肩をトンと押してきたのだ。
「フラッシュ……見てわからない?学校新聞用の写真撮ってるんだけど」
振り返り、呆れた口調でそういうとニヤニヤしていたフラッシュの顔がスンっと真顔になった。おお怖い、けどイケメンなんだよなぁ……。
「一丁前に俺に反論する気か?パーカー」
ゴキゴキと指の間接を鳴らすフラッシュ。チラリとハリーを見ると素知らぬ顔でそっぽを向いていた。この薄情者めっ!
「フラッシュ。そんなにカッカしてたらしんどいばっかだよ?ハイ、チーズ」
パシャリ、と怒り心頭なフラッシュの顔を撮影。すると同時に胸ぐらをガッと掴まれた。
「今すぐここでぶん殴って……」
「何をするつもりだ?トンプソン」
気をつけろー!もうすぐ殴られるぞー!と、神掛かったタイミングで引率の先生が俺とフラッシュの間にヌッと現れた。フラッシュはなんとも言えない顔で、けど怒りは宿ったままの目つきで俺の襟首を離して乱雑に掴み上げてシワになったところを直した。
「よろしい、次騒ぎを起こしたら補習だからな?覚悟しておくように」
去ってゆく先生を張り付けたような笑顔で見送ると、フラッシュはぐるりと振り返って俺を睨んだ。チャンスがあればぶん殴ってやるの顔ですね、ありがとうございました。取り巻きと共に去ってゆくフラッシュを見送って小さく息を吐く。
「ピーター。余計な事を言ってアイツらを怒らせるなよ?」
「悪いのは向こうだよ、ハリー」
そうだけどさ、と歯切れ悪く言うハリー。彼自身、フラッシュは苦手だった。ハイスクール転校初日にカツアゲされたのが原因らしい。気持ちはすごくわかる。
「おい、ピーター!」
ハリーに小突かれて視線を顎で指してくる。目を向けるとそこには蜘蛛のいるケースを見ているMJがいた。ハリーは、ピーターがMJを好いてることを知っているのだ。だから気を利かせてくれたんだけど……。
「ハリーこそ、声かけなよ」
「何言ってんだよ。お前、MJに気があるんだろ?」
「今のラボの研究でそれどころじゃないよ……」
嘘である。MJを演じる女優さん、キルスティン・ダンストさんは確かに綺麗だけど……ハリーとか、まだ見ぬ相手とかお付き合いをしててもスパイダーマンに恋を抱いてるヒロインなんだけど……好きかと聞かれたら微妙なところだ。
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