ハーメルン
サムライミ版のピーターに憑依した男っ!!
第四話



「ピーター?ハリー?」


聞き覚えの声に思わず振り返る。そこには買い物用のメモ帳を持ったベンおじさんが驚いた顔をして立っていた。


「あー……やぁ、ベン叔父さん。こんなところでどうしたの?」

「台所用のペンキが足りなかったから買いに向かうところだ。それよりも2人とも、学校はどうした?」


ベンおじさんの言葉に思わずハリーと共に言葉を詰まらせてしまう。咄嗟にハリーがベンおじさんへの説明を始めた。


「実は僕たちの研究で少しトラブルがあって」


うむ、あながち間違っていない。ベンおじさんも俺やハリーがやっている研究については理解もあるが、会うたびに「学業をおろそかにしてはいけない」と釘を刺してくれていた。そんなベンおじさん相手にハリーの言い訳が通じるかと言われれば答えはノーであった。

何かを察したベンおじさんは小さく息を吐いて俺たちの肩を叩きながら優しい声で言った。


「ラボの実験も立派なことだが勉強を疎かにしてはいけないぞ?ハリー。ピーターもな?」


これには謝るしかない。ハリーと俺は共にベンおじさんへ謝ると、おじさんはヨシと言って肩を叩いてくれた。


「まぁ、今更学校に戻るのも忍びないだろう。サボったついでにペンキの買い出しに付き合ってくれないか?この老体だとペンキ缶を持ち歩くのは少々骨が折れるのでね」

「わかったよ、叔父さん」

「誠心誠意、手伝わさせていただきます」


若い二人がいれば外壁まで塗装できそうだとベンおじさんは愉快そうに微笑んで歩き出し、俺とハリーもマーケットに向かうおじさんの後に続いた。その後、ありったけのペンキを買って俺が全部一人で持っておじさんにびっくりされてハリーに「いきなりバレたらどうするんだ」と小言で怒られたり、勢い余って台所だけじゃなく、リビングと階段の手すりまでペンキ塗りをして、家でご飯は食べれないわねと言ったメイおばさんの言葉がきっかけとなり、ハリーも含めた四人で行きつけのピザ屋で晩御飯を食べた。

ハリーはこんな風にわいわいと外食するのは初めてだとはしゃいでおり、それをベンおじさんとメイおばさんは優しい顔で見守っていた。サイドで頼んだ骨つきソーセージにかぶりつくハリーを見ながら俺もピザに手をつける。

やはりペパロニたっぷりのピザは最高だったと言っておこう。








翌日、ベンおじさんとの約束もあって俺とハリーは共に登校した。フラッシュの一件から何か仕返しをされるかとハリーは戦々恐々としていたが別にそんなことはなかったぜ。

むしろ腫れ物を扱う感じでさらに疎外感を味わったくらいだ。肝心のフラッシュはメンツも潰れたこともあるのか無闇に俺に話しかけてくることはなかった。取り巻きはしどろもどろしているし、MJもチラチラとこちらを見ていたがとりあえずスルー。

それよりも俺にはやらねばならないことがある。

授業が終わってハリー側近の執事の方に迎えに来てもらった俺たちは真っ直ぐにオズコープにある新たなラボへと向かった。ハリーの言った通り、前にAIを開発していた頃のラボよりも広くなっている上に設備も十全に揃えられていて思わず入口で鞄を地面に落とした後、隣にいるハリーとノールックでハイタッチを交わすほどだった。

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