ハーメルン
竜と龍の血を継ぎし者~英雄と狩人の証~ モンスターハンター×僕のヒーローアカデミア
第2話 入学試験
受験会場である雄英高校。そこに到着した呼人は、人間の群れを抜けて指定された大教室へと移動する。
ずっと自然の中でただ神王寺とだけ接してきたため、人間がこうも大量に居るという状況には慣れていない呼人だが、そこはゾラやジエンなど、人格を獲得した際に経験豊富な老人となった龍たちから心構えを教えられているので、特にこれといった問題はない。
時間に余裕を持たせるために少しばかり早く来すぎたため、常に2、3冊携帯している書籍を開く。今読んでいるのは、アフリカという地域の自然に関する本だ。竜達からたくさんの自然についてのイメージをもらった呼人はこの世界の自然にも興味を持っており、また呼人の中に居る竜や龍たちの中でもそういった好奇心が強い者たちは呼人の目を通して書籍を楽しんでいたりするのだ。
まあ時々呼人より読むのが遅いモンスターがついていけずに凹んでいたりするが、様式美というやつだ。
呑気に書籍を開いて読んでいる呼人に周囲の一部は奇異の目を向けるが、それを感じながらも呼人は気にしない。明確な殺意は感じないからだ。せいぜい感じるのは苛立ち、焦り、あるいは不安。害が無いとわかっているのに不必要に反応はしない。下手にちょっかいをかければ痛い目を見るのは己。野生の掟である。まあ腹が減ったジョーや、普段のガルルガにラー辺りは目があっただけで喧嘩を売ったりするわけではあるが。
やがて時間となり、前から一人の人間が部屋に入ってくる。
『リスナーのみんなぁ! 今日は俺のライブへようこそー!!』
部屋に入って一番にそう奇声を上げた人物に対する皆の反応は、反応しない、というものであった。無反応な理由はそれぞれあろうが、入ってきた人物はめげずに説明を始める。というよりそこまで織り込み済みだったのだろう。
『オーケー、オーケー! それじゃあ早速説明を始めるぜ!』
そう言って男は説明を始める。ちなみに彼はボイスヒーロー『プレゼント・マイク』。プロヒーローでありながらラジオ番組をやったり教師をやったりと何かと忙しい男である。
『早速だがこの後は、入試要項通りに『模擬市街地演習』だ!! 持ち込み自由だから持ってくの忘れんなよ!!』
その言葉を聞きながら、呼人は配られたプリントに目を通していく。
試験時間は10分。
演習場には4種類の仮想敵がおり、そのうちの3種類にはそれぞれポイントが割り振られている。それを倒してポイントを獲得、その点数を競い合うといったものだ。
また4種類目の仮想的にはポイントが割り振られていないようだが……おそらくは乱入といったところであろう。モンスター達の中には、ハンターと他のモンスターが戦っている場所に乱入した事があるものも大勢いる。
そういうことから考えると、倒す必要もなく邪魔なだけの敵が紛れ込んでくる、というシチュエーションを示しているようだ。
「質問よろしいでしょうか! プリントには4種類の敵が記載されています! これに関する説明が無いということはこれは誤植でしょうか! そうであればこの高校として恥ずべき痴態! 説明を求めます!」
(凄いやつが居るな)
叫ぶように呼人が推測した事をマイクに向かって尋ねる男に対して、呼人はそんな感想を抱く。この衆人環視の環境でよくやる、と言ったところか。モンスター達との交流によってコミュニケーションに難は無い呼人だが、目立つのはまた別の話だ。所謂くそ度胸というやつである。
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