ハーメルン
【募】こんな小説を書けこの野郎【リクエスト】
三年F組フリーザ先生!  (ケツアゴさま 原案)




「ねぇまるちゃん? 新しい先生って、いったいどんな人なんだろうね!」

 たまちゃんの、いつもよりそこはかとなくウキウキした感じの声が、朝の教室に響く。
 あたしは背負っていたランドセルを机のフックに掛け、愛らしい表情をする親友へと向き直った。

「ありゃ、新しい先生が来るの?
 あたしゃてっきり、これから毎日が自習になるもんだとばかり」

「まるちゃん……昨日“帰りの会”で言ってたでしょ?
 代理で来てくれた先生が、そう言ってたじゃない……」

 なんか〈ドヨーン!〉って感じで、たまちゃんの顔に縦線が入る。きっと呆れてしまったんだろう。
 恐らく、早く家に帰りたいという想いで一杯だったあたしは、帰りのホームルームの内容を、全部聞き流してしまってたんだと思う。
 そんな話はどーでも良いから、早く帰ってリボン読みたいっ! 花ゆめを読ませてっ! とばかりに。
 これはいつもの事だから、だいたい察しはつく。

「怪我しちゃった戸川先生の代りだよ。
 入院してる間、しばらくは別の先生が来てくれるって」

「おー、いわゆるリンジ教師(・・・・・)ってヤツかい?
 楽しみなような、ありがた迷惑なような……複雑なしんきょーだよまったく」

 この前、クラスみんなでお見舞いにも行ったのだけど、先日このクラスの担任である戸川先生は、ちょっとした事故に合ってしまって、いま入院中なのだ。

 聞いた話だと……確か風に舞うビニール袋を猫と間違えて(・・・・・・)、代わりに車に撥ねられたんだっけ?
 そのあと、後続車にもガンガン撥ねられ、ボロ雑巾のようにされ、ようやく歩道に弾き飛ばされた後にも自転車に轢かれ、また車道に逆戻りしちゃった挙句に、突っ込んで来たゴミ収集車にトドメを刺されたんだっけ。

 中型車とはいえ、あれもけっこう重量のある車両だったりするし、きっと沢山ぶっ飛ばされた事だろう。よく生きてたモンだと感心する。
 流石はあたし達の先生。大人ってスゴイ。

 ついでに言えば、跳ね飛ばされて辿り着いた先が、道路脇の溝の中(全身スポッとハマってたらしい)。そして事故にあったのが、ちょうど深夜だったものだから、発見が物凄く遅れて、救助されるまではだいぶ時間がかかっちゃったみたいだけど……。
 気が付いた時には、時計も壊れ、メガネも割れ、ズラも外れてて、財布も家のカギもどっかいってたらしいけど……。

 でもあたし達がお見舞いに行った時、先生はいつもとまったく変わらない笑顔で、「来てくれてありがとう御座います」と言ってくれた。

 優しい声、あったかい笑顔――――
 それは別に良いんだけど……、なんで先生はあれだけの事故だったのに、おでこに絆創膏を貼るくらいの怪我で済んでいたのかが、不思議でならない。なんで生きてるんだろこの人?

 先生はとても温厚な人だけど、実はアイツ鉄で出来てるんじゃないか? マジンガーZの親戚なのでは?
 あれから暫くの間、あたし達はその話題で持ち切りだった。小学生のフレッシュな発想により、様々な憶測が飛び交ったものだ。

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