ハーメルン
【完結】邪神系TS人外黄金美女が古代神話世界でエルフ帝国を築くまで
ホワイトダーク・ダイアモンドダスト Ⅰ
「クッククッ、なんだ。盗賊あがりどもの心配か?」
「アホ。下手な行動されて気取られたくねーって話だ。俺らの祝福じゃ、まだ神殺しには届かねえ……」
「ハッ! まぁ、そうだよな。しかし、今日でもう結構な日にちだろ? どこぞで凍死でもしてんじゃねーのか?」
「……仮にもプロゴノス様の加護を授かってる。そいつは有り得ねぇだろ」
「じゃあ……おい。マジで殺されてんじゃね? 敵は件の霜天か? フゥ! 楽しくなって来たなァ!!」
「バカ野郎ッ、面倒くさくなっただけだろうが!!」
木立を抜けた先。
雪被る倒木の陰に隠れるようにして、男たちの声があった。
数は十、二十、いや……少なく見積っても五十はいる。
全員、鈍色に光る鉄の剣を腰に佩いていて、驚くほど体格がいい。
隊長と呼ばれている男などは、ルキアの四倍はありそうな巨漢である。
そして、
(あ、ああっ、アレは!
龍
(
・
)
の
(
・
)
紋
(
・
)
章
(
・
)
……!!)
男たちが着込んでいる鎧。その肩から翻る厚手のマント。
真ん中には、もはやこの大陸で知らぬ者などいない龍の意匠が、ありありと縫い付けられていた。
──すなわち。
(龍の國の騎士たち! ついにやって来た! この
北の森
(
ヴォラス
)
にッ!)
全身から血の気が引いていく。
長老たちから聞かされてきた悪夢のような昔話がフラッシュバックする。
逃げなければ。知らせなければ。このままでは、皆が危ない。
ルキアは全速力で走ろうとした。
──だがしかし。
「おっと! せっかく来たのに、どこに行くのかなァ、お嬢ちゃん?」
「ぐ、んんっ?!」
背後から、別の男がルキアを捕まえ、口元をなにか甘い香りのする布で押さえ込んだ。
(そんなっ!? 加護はちゃんと効いてるはずなのに……!?)
咄嗟に息を止めるも、男は無理やり口の中に布を捩じ込み離さない。
意識が、急速に、遠く、な、る……
「ヒッ──ヒャヒャ! 女ッ! 若いッ! しかもエルフッ! 隊長ォォ!! 最高の知らせがありますぜ!!」
ルキアの記憶は、そこで、完全に途絶えるコトになった。
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