ハーメルン
真剣で居合ってカッコいい! 
一話 武術との出会い


 世の中には様々な武術が存在する。
 空手、柔道、剣道、八極拳にボクシング、テコンドーなど多種多様な武術が生み出され、その技術は磨かれていった。
 『宮本(みやもと)(じん)』と言う少年もまた、そんな武術と言うカッコいい技術に心魅せられた少年だった。

 始まりは小学一年生の頃に、テレビでたまたまやっていた武道家の偉い先生が披露する、その技の数々を目にした事であっただろう。その流れるような動き、一切無駄のない洗練された技術。それが刃には、鮮烈にとてもカッコよく映ったのだ。
 だからこそだろう、彼はすぐさま両親に頼み込んで、武術がやりたいとせがんだ。それに対して両親は心よく承諾し、すぐさま近所に開かれる剣術に関する道場に通わせてくれようになった。
 今にして思えば、刃が武術に魅せられたのは、両親の無類の格闘技好きと言う趣味が、色濃く受け継がれたからなのかもしれない。

「今日からよろしくお願いします!」

 道場初日。意気揚々と挨拶をする彼は、これから始まる修練によってあの時の剣術の先生のような、カッコいい人になれると胸を躍らせていた。
 しかし、その希望は初日の軽い稽古から陰りが見えはじめる。

「うわぁぁぁぁん!」

 簡単な受身の練習、軽い組み手など大した事のない練習でもたらされた痛みが、幼い刃を襲ったのだ。母は、心配そうに我が子に駆け寄り、大丈夫?と心配する。しかし、道場の先生は慣れているのか、幼い子供ならよくある事で直に慣れる、とフォローする。

 だが、この時に幼いながらに少年は悟ってしまっていた。

「こんなに痛いこと、絶対に続けられないよ……」

 あんなに楽しみにしていた道場を辞めたのは、通い始めて3日目のことだった。

 自分から頼んでおいて、こんなにも早く音を上げてしまった刃は情けなく、そして両親に対する申し訳ない気持ちに苛まれる。
 でも、そんな根性なしといじける我が子を両親は決して責めることはなく、人には向き不向きがあると慰めてくれたのだ。

 しかし、痛いのが嫌で道場を辞めたからといって、武術に対する憧れが消えたわけでない。
 人と戦うのは嫌だ、痛いから。基礎練習は嫌だ、痛いから。
 ならばと、それなら過程を無視して、最初っから目的としている結果を追い求めることにした。
 それは、入念な基礎練習から齎される技術、その妙技のみを自己流で真似してみること。実に子供らしい短絡的な考えであった。
 だが、その考えが彼の両親が言ったように人に向き不向きがあるのと同じく、宮本刃と言う少年には奇跡的には合っていたのかもしれない。

 そして、肝心の練習する技についてはもう既に決めてある。それはあの日テレビで見た、最もカッコいいと感じた技――『居合抜き』だ。

 居合、もしくは抜刀術などと称されるその技術は、鞘に収められた日本刀を瞬時に抜き放つことであり、ゲームなどでも良く用いられるなど日本に於いてはかなりメジャーな技の一つだ。これは日本刀のような流線的な刃物ならどれでもできそうに見えるが、この鞘から抜き放つと言う動作の一つが、居合という独自の技となるまで発展したのは日本だけである。

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