ハーメルン
真剣で居合ってカッコいい! 
四話 東西交流戦 開幕

 

 東西交流戦は、川神市にある工業地帯で夜に行われていた。噂通りに行われたこの東西交流戦は、かなりの大規模で開催されることが決まり、一部メディアで放送される事態にまで発展している。
 各学年から200人を出し合い、敵大将を討ち取った方が勝利する集団戦、三本勝負。東の川神学園。西の天神館。互いのプライドをぶつけ合う決闘は、2本目の勝負を終えた時点で、川神学園の勝利で終わると目されていた。

 一回戦。一年生同士の戦いは天神館の勝利に終わった。川神学園に所属する、“剣聖”黛十一段の娘、黛由紀恵の活躍により序盤から中盤は終始優勢に進んだ。一時は大将の目前まで迫られたが、何を血迷ったのか突然飛び出してきた川神学園側の大将を袋叩きにするという結果で、呆気なく終わる。

 二回戦。二年生同士の戦いは、今度は川神学園が勝利する。戦いが始まる前の下馬評では、天神館が誇る西方十勇士が全員所属する二年生故に、川神学園側の勝ち目は薄いとされていた。しかしいざ始まってみれば、十勇士達は次々に討ち取られていき、最後には大将である石田が、空から降ってきた源義経を名乗る少女に切り捨てられたのだった。

 ここまでの戦績を比べれば、互いに一勝一敗で均衡しているように思えるが、ではなぜこの時点で川神学園側が勝利すると目されているのか……それは、残った三年生の部に“武神”が所属しているからだった。
 川神学園所属、川神百代。武神と名高い彼女がいるからこそ、周囲では戦う前からもう勝負はついているとまで言われている。
 しかし周囲から何と言われていようと、天神館の三年生達は負けを覚悟で挑んでいる者なぞ一人もいなかった。

「ついにこの日がきたな……」

 各陣営で戦いの準備を進める両者。天神館陣営で準備を進める三年生達は、直に相手になる武神との戦いを前に、戦意を燃え滾らせていた。それは天神館の三年生達だけに留まらない。この三回戦に限り、天神館側は大量の助っ人を味方に引き入れることが出来たのだ。その数は規定人数の三倍、有に600人以上である。これは川神学園側も承諾済みであり、武神を相手するにはそれぐらいでなければ相手にならないという余裕の表れに他ならない。
 しかし、その態度に反感を抱く者は一人もいない。皆分かっているのだ、今から戦う事になる存在が、途轍もない強敵であるということを……。

「二年生達が負けたのは想定外だったが、問題ない!私達が勝って、天神館に勝利の凱旋をするぞー!!」

【おおーーー!!!】

 気合充分、拳を突き上げて、気持ちを一つにする一同。
 一団の先頭に立ったリーダー格の男子生徒は、その光景を見て安心する。ここまで共に切磋琢磨してきた仲ではあるが、事ここに至って怖気付いている者は一人もいない。鼓舞し合う者、緊張を解す為に頬を叩いて気合いを入れる者など、各々が戦いに備えていた。
 助っ人で呼んだ外部戦力の方々とも、関係は良好。これならば、練習通りの実力を発揮できると確信する。

 そこでふと、気になるモノが目に入る。それは、今回学長の推薦で大将の役をする事になった宮本刃であった。
 昨夜の二年生同士の対戦。それだけではなく、勿論一年生同士の対戦でも、刃はその光景を食い入るように見やり、終始テンション高く騒いでいた事を思い出す。あの生徒が凄いだの、この生徒は残念だのと、隣に座る生徒に話しかけてはウザがられていた。

[9]前書き [1]次 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:1/4

[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク
携帯アクセス解析