錬鉄の英雄
きゅっと手を握って彼女は言う。
「じいちゃんも、どれくらい前かわからないけど、前の代の総代から受け継いで総代になったんでしょ?」
「・・・そうじゃなぁ」
彼女が言わんとしていることを知った川神鉄心は涙を必死に堪えた。
「ルー師範代も、前の師範代から受け継いで師範代になったんだもんね?」
「そういうことになるネ・・・」
「なら次は・・・アタシ達・・・ううん。アタシとお姉さまの番・・・だよね?」
「・・・そうだな」
流れそうになる涙を堪えて百代は一子を抱きしめた。
「ならアタシやるよ。だって、それがアタシの夢だもの」
「一子・・・・!」
ぎゅうっと一子を抱きしめる百代。
「一子や・・・!」
「カズコ・・・!」
百代も鉄心もルーも皆一同涙を流して彼女のことを抱きしめた。
「あはは、ちょっと苦しい」
それでも嬉しそうに笑う一子。
この時、川神一子は本当の意味で百代の妹となり、川神鉄心の孫娘となり、ルー師範代の弟子となり、そして川神院の訓練生であり家族になった瞬間だったのかも知れなかった。
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