夢/理想に向かって
「よーしワン子。その調子その調子」
「よっ・・・ほっ・・・」
一子の決意と覚悟そして潜在能力の限界突破。新たな鍛錬法と新・川神流の話の後。ようやく動けるようになった一子は百代と一緒に歩行練習からしていた。
「うん。うん!分かってきたかも!」
「・・・こらこら。あんまり調子に乗るな。そんなことすれば―――」
ドシュン!
「うひぁあーーーー・・・・」
凄い音を立てて空中へと打ちあがった。赤い髪がなびいてまるで花火か何かのように見える。命名、ワン子花火。
「ぁぁぁああああ!」
「よっと!」
ぎゅむ!っと落ちてきた一子を百代が抱きしめる。
「大体10歩に一回・・・打ちあがるな。まだまだ先は長そうだ・・・」
ふうむ。と腕を組み考える士郎。
なぜ彼がこの場にいるのかと言えば、彼が提案した鍛錬を原案として新しい訓練メニューを鉄心と師範代達が話し合うので自分はお役御免になったからだ。
本当は自分にも色々話を聞きたいと言われたが、
『・・・いや、これ以上俺が口を出すのは良くないと思います。そもそも俺の剣は我流で流派も何もあったもんじゃないので』
『でもお主、川神流の技つかっとったじゃろう』
『あれは所詮猿真似ですよ。初めて使いましたし』
『・・・そうじゃったのう。お主最近川神に来たんじゃっけ。・・・?じゃあお主どこで川神流を―――』
『おおっと。一子が心配だ!百代はちゃんとしてるかなー!!』
『あっ!コラ待たんか!』
『待てと言われて待つ奴がどこにいますかね!』
と、ぶっちゃけ色々とボロが出そうになったので逃げて来たのだが。三十六計逃げるに如かず、である。
「やっぱり重りとかつけるか?」
と考えた士郎だが、
「いや。重りなんか付けたら外した時にまたすっ飛ぶだろ。こうやって体に少しずつ覚えさせていくのが一番なんだよ」
「・・・そういうものか」
気に関しては全くと言っていいほど知識が無いので、士郎は本当に見守ることしかできない。一応調べはしたのだが・・・
(・・・なんでもアリすぎだろ。万能スーパーパワーか?)
と、調べれば調べた分だけなんかよくわからんけど、なんにでも使える超スゴイ力ということしか彼には分らなかった。
ドヒュン!
「ひゃあああああ!」
今度は弾丸のように踏み出した先に真っすぐにすっ飛んでいく。
「おっとと・・・そら、頑張れ一子」
「・・・えへへ。ありがとーー!」
受け止めた士郎にニッパリと微笑んでまた歩き始める。
彼女がこうして初日の、それも覚醒して僅かな時間ですぐに鍛錬を始めたのには理由がある。それは今週の金曜集会のため。
最初は、士郎か百代が連れて行くと言ったのだが、
『ダメ!自分の足で行く!』
と一子が断固拒否したのだ。百代は今回だけでも・・・と言ったが、やだ!とやっぱり拒否。結果、大人しく見守ろうということになった。
「しかし、なんだな。まるで歩き始めた子供でも相手にしているみたいだ」
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