夢/理想に向かって
――――interlude out――――
突然の戦闘を終えた士郎は今後の事について考える。
(やつらの目的は後々知るとして・・・林冲に史進とは・・・キナ臭くなってきたな)
記憶が正しければ、水滸伝に登場する梁山泊と呼ばれる場所に身を隠したと言われる腕利きの者たちのことだ。
(彼女達の武器は刃引きなどされていなかったし何よりあの雰囲気。間違いなく実戦経験持ちだ)
いよいよ裏の人間が自分を嗅ぎつけたことになる。これまで日を浴びて多少緩み始めていた気持ちを引き締める。
(・・・いい加減この場所を隠し通すのも難しいか)
それは表と裏二重の意味でだ。表としては誤魔化し続けるのもいいが、いい加減嘘も苦しくなってきたし、何より九鬼の人間が自分を嗅ぎまわっている。挙句、裏としては人払いの結界に気づく怪しげな人間達にまで追われる身となってしまった。
(この生活も・・・気に入っていたんだがな・・・)
ふっとこの世界でできた仲間達との生活に思いを馳せる。楽しい親友達との日々。それは得難く尊いもの。一度裏の道に走った自分には眩しすぎるものだ。だというのに、自分はその仲間達に入れてもらい、あまつさえその幸せを与えてもらっている。なのに自分は彼らに嘘や隠し事をしている。それがなんとも歯がゆかった。
(問題は山積みだが・・・なに。彼らくらいは守ってみせよう)
それはエミヤシロウではなく、彼らの友、衛宮士郎の想いとして。星々がキラキラと光る夜空を見上げて想うのだった。
[9]前 [1]後書き 最初 最後 [5]目次 [3]栞
現在:8/8
[6]トップ/[8]マイページ
小説検索/ランキング
利用規約/FAQ/運営情報
取扱説明書/プライバシーポリシー
※下部メニューはPC版へのリンク