ハーメルン
TS転生先がエロRPG世界っぽいので最高の敗北を味わうために全力処女プレイしてみせる!
モンスターに出会ったなら軽度の苦戦もしてみたい?
俺の誕生日は世界を救う勇者の旅立ちを祝う日にかわり、これまでお世話になってきた近所のおじさんおばさんは涙を流しながら心配してくれた。
ここまで盛大に見送られてしまっては弱音は吐けない。
旅立つとはいったもののどこへいけと言われたわけでもないとユートがいうので大人たちに相談をしてみた。
情報を集める意味でも近くで一番大きな街である商業都市セタロンに向かうのがいいだろう、という結論になったので第一目標はそこだ。
村長には紹介状も書いてもらった。この年になって初めてのおつかいということになる。
近いとはいえ、歩いて数時間! というわけには当然いかないので野宿の準備と覚悟はしてある。
キャンプみたいでちょっとわくわくしたのは内緒だ。
これまで村の外へ出ることはなかったので、世界が一気に広がるのだと実感する。
寝ている間に魔物に襲われるかもしれないので見張りは交代で行って火は絶やさないようになんて説明されたのも少しキャンプみたいだなと思った理由だ。
実際命がかかっている以上は真剣にやらなければならないだろう。
噂に聞く魔物は残忍で狡猾らしいが、さりとて今の自分が通用しないということはないと思う。
村一番の天才魔法使いがそこらへんにいる魔物に負けて蹂躙されるのならばそれはもう、詰みだ。
というわけで張り切って村を出てしばらく。たまに商隊の通る街道にそって歩いていたら草むらが揺れた。
これは初エンカウントではとテンションが上がり、さてスライムかゴブリンかと期待してみると角の生えたウサギだった。
……あんまりえっちじゃないビジュアルだな。まるきり獣だし普通にこの世界の野性動物なのかもしれない。
ちょっとがっかりしたがちらりと横をみるとユートがものすごく警戒していた。やっぱり魔物なのかコイツ……?
さて視線を切ったことを好機と見たかウサギが飛びかかってきたのが視界の端にうつった。
しかし問題はない。こんなこともあろうかと死角に浮かべていたファイアボールでツノウサギを迎撃する。
火炎弾の直撃で吹き飛びギョグギョグと悲鳴を上げるツノウサギ。……ウサギの鳴き声を初めて聞いたけれど、こんなに禍々しいものなんだろうか。
顔面を焼かれて悲痛に鳴く声は普通に動物虐待しているような気分になって正直あんまり気持ちよくはない。
確かに襲い掛かられたけれど小動物をいじめるのも後味がよくないな、なんて考えていたら顔面が燃えながらもツノウサギがとびかかってきていた。
「ひっ!? ……あっ」
完全に不意を突かれた形になり情けない声が出たが、ツノウサギのキバが乙女の柔肌に突き刺さるよりも早くユートの剣が首を落とす。
やっぱりすごい剣速だ。加護の力は確かに働いているに違いない。
「サナ、大丈夫!?」
「う、うん。ありがとう」
いや、危なかった。とびかかられた時に「うおぉっ!?」とか言ってたら美少女が台無しになるところだった。
……手負いの獣は危ないというのは前世でもよく聞いた話なのに油断したのはいただけない。
普通に今の瀕死のツノウサギに噛まれて大怪我なんてあまりにも情けなさすぎるというのに、ユートがいなかったら確実にやらかしていた。
「ごめんね、なんだか普通の動物みたいだなぁって思っちゃって……」
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