酔っ払いチノくん
私ココア!今日は同居人のチノくんと一緒にスーパーに晩御飯の買い物に来てるの。
「今日の晩御飯何にしようか?」
「特に要望はないので自由でいいです」
相変わらずさらっと流されちゃった。チノくんいつもこんな感じでクールなんだ。
(それにしても・・・)
私たち一緒に暮らしてだいぶ経つのにまだ距離があるような・・・。なんでだろう・・・。
(話し方かな・・・?)
チノくんは私に対して、というか誰に対しても敬語だ。同級生のマヤちゃんメグちゃんにも敬語だし。とても丁寧でいいと思うけど。
「私たち一緒に住んでるし、敬語じゃなくてもいいんだよ?」
「ココアさんは誰に対してもタメ口ですね」
「私のモットーは出会って3秒で友達だからね!」
「ポジティブで羨ましいです」
そんなに難しい事じゃないと思うけどな。自分らしく人と話せば仲良くなれることの方が多いよ。
「ボクは周りがお客さんや年上の人ばかりだったので、癖が直らなくて」
チノ君は昔からラビットハウスの手伝いをしてたみたい。だから同年代の子たちとちょっと疎遠だったのかな。姉としてはたくさんの友達と仲良くしてもらいたいけど・・・。
「じゃあ練習してみようよ。ちょうどいいところにあの二人が」
向こう側から千夜ちゃん、シャロちゃんが歩いてきた。口調から変えていけば自然と雰囲気も柔らかくなるかもしれないし。
「あっ、チノくん」
「こんにちは。ココアと一緒に買い物?」
「・・・え、えぇと・・・・・」
二人のことを呼び捨てで呼ぼうとしてるみたいだけど苦戦してるみたい。長く染みついた癖だからそう簡単には変えられないよね。
あれ。でもこれが成功したら千夜ちゃんシャロちゃんだけタメ口で呼ぶことに・・・。
『ココアさん、おはようございます。ああ、千夜、シャロ、おはよう』
「チノくんはタメ口使っちゃダメーーーーー!!!」
「どっちなんですか!?」
今日ボクはココアさんと一緒に夕食の買い出しに行きました。そこで千夜さんとシャロさんにばったり会って、紆余曲折を経てみんな一緒にカレーパーティーをすることになりました。
早速シャロさんの家に行ってカレー作り開始です。
「じゃあボクは野菜を斬りますね」
みんなで分担してカレーを作り始めました。
「チノくん手際いいわね」
「最近は男の子でも料理する子は多いっていうけど、ホントだったのね」
千夜さんシャロさんの両方から褒められて、少し委縮してしまいます。二人に挟まれてるせいか少し甘い匂いも漂ってる気も・・・。
「普段やり慣れてますので」
やっぱり他人に対してどうしても固い言葉になってしまう。ココアさんじゃないけど他人に対してもう少しフランクに出れるようにしたい。
「じゃあ炒めるのは私がやるわ」
「あ、ありがとうございます。シャ・・・」
「?」
「シャ・・・ロ・・・」
「!?」
「・・・・・さん」
結局いつもの敬語に戻ってしまった。
「また無理しちゃって」
「自然体でいいのよ」
千夜さんシャロさんが優しく慰めてくれます。まだ当分フランクに接するのは無理そうです。
「ま、まあでもたまにはタメ口で接してきても・・・いいんじゃないかしら」
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