リゼと執事チノくん
今日は捻挫でバイトをお休みしているリゼさんのお見舞いに来ました。お嬢様学校に通っているだけあってお家もすごい豪邸です。
「メイドさんがいたりして」
「入り口でお出迎えされたらどうしましょう」
そうココアさんと話しながら入り口を見てみると。
サングラスをかけた屈強そうな男の人がいました。
「私が囮になるから先に行って!」
「えっ」
ちなみに見た目と違ってすごく紳士的でした。
「軽い捻挫だから心配しなくても良かったのに」
「いいんだよ。リゼちゃんちにも来て見たかったから」
思っていたより軽そうで良かったです。でも念のためバイトはもう少し休んでもらった方がいいでしょう。
「お茶をお持ちしました」
そうこう話しているとシャロさんと千夜さんが入ってきました。二人とも古き良きメイドの姿をしています。
「ついに天職を見つけたみたいなの」
「おバカーっ!罪滅ぼしよ!」
どうやらシャロさんはリゼさんのケガを自分の責任だと思っているそうです。リゼさんは気にしていないようですが。
「そ、それより折角来たんだし、遊んでいかないか?」
リゼさんからお誘いを受けました。思えばリゼさんから遊びに誘われるなんてこれが初めてかもしれません。
「ケガに響くといけないしそろそろ帰るよ」
「えっ」
「私たちも仕事があるので」
「えっ!」
ココアさんとシャロさんは遠慮気味です。ボクもリゼさんにはケガの治療に専念してもらいたいのでそろそろおいとましようとおもいます。
と思っていたら。
「動くな」
なぜかリゼさんから銃を向けられました。
「おっ、落ち着いて!」
ココアさんがうろたえて後ろに後ずさります。すると。
ガシャンッ
見るからに高そうな望遠鏡が壊れてしまいました。
「ヴェアアッ!!ラビットハウスを担保に入れて弁償を!!」
「うちを巻き込まないでください!!」
壊した分は働いて返すことになりました。リゼさんは安物だから気にしなくていいと言ってくれましたが。ボク以外みんなメイドの恰好をしています。
「年季の入った格好だね」
「古くからお仕えしてきた女性たちの魂を感じるわ」
メイド服と言えばフルール・ド・ラパンが思い浮かびますが、あれとは違って正統派のロングスカートのメイド姿です。いかがわしくはないのですが皆さん気品あふれる姿なので別の意味で目のやりどころに困ります。
「チノくんは着ないの?」
「ボク男ですよ」
よく女顔と言われますが一応ボクは男です。一般的に男の人が着るものではないとは思います。
「でも似合うと思うよ」
男としては割とショックな評価です。千夜さんとシャロさんもコクコク頷いています。仮に着るとしても執事服だと思うのですが・・・。
「そういえば執事服もあったぞ」
「えっ」
リゼさんの鶴の一声で執事服を着ることになってしまいました。
「ど、どうでしょう・・・」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
みんな押し黙っています。そんなに変でしょうか・・・。
「えーと、なんだ。すごく・・・似合ってる」
「う、うん。いつものチノくんじゃないみたい」
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