ハーメルン
チームハダルとそれにまつわる短編集
グラスとファン感謝祭と迷子 その2


やはりというか、グラスはとてつもなく強かった。場にある札から詠まれる上の句を予測し、詠まれた上の句を判別した瞬間に高速で札を獲る。百人一首の句をだいたい覚えているからこそ出来る芸当だろう。じゃあ、展開はグラスの圧勝かというとそれは違う。俺とグラスは一進一退の攻防を繰り広げていたのだ。グラスに近い札はグラスに取られ、俺に近い札は俺が取った。これだけ言うと俺が凄いみたいに聞こえるが実際は……もっと凄い。俺はグラスと違って百人一首の句を覚えている訳じゃない。そんな俺がグラス相手にどうやって互角に戦ったのか?答えは『目線で獲る札を予測する』だ。どういうことか?簡単な話、句を覚えていないなら覚えている人に教えて貰えばいいのだ。目線からグラスが獲ろうとしている札を探知してグラスよりも先に手をつける。いくら、ウマ娘とはいえど、反射神経ならばヒトでも張り合うことが出来る。素早く予測して、グラスより先に動く。これでグラスとちゃんと互角の勝負が出来るのだ。……そう、出来ていた。後半、場の札が少なくなったことを良いことにグラスは俺を完封するべく、目隠しをするという行動に出た。流石に俺も驚いたが、予測要素を目線から腕の動きにシフトしたが、これでは大きく俺の行動が遅くなるのは当たり前、さらにタネを理解したグラスによるフェイントにより後半戦にて俺はグラスに完全敗北してしまった。

「百人一首でここまで苦戦したのは久しぶりです。楽しかったのでまたやりましょうね、トレーナーさん」

「終盤、1枚も獲らせなかったのに楽しかったって……しょうがない、こうなったら一切句を覚えないでグラスに勝つ方法を考えるか。」

「素直に覚えるのをおすすめしますよ~それに和歌を知ると世界が美しく見えますから」

残念だが、俺はそんな風流な心は持っていない。

「嫌だね。グラスに普通の勝ち方で勝っても面白くない。」

「ふふ、では楽しみに待っていますね」

それにしても、百人一首でここまで疲れることになるなんて……

この経験は『八方にらみ』の対策に活かせるかもしれないな。




その後、ギャラリーたちにグラスの相手をやってもらおうと呼び掛けると意外にもニット帽をかぶった俺とグラスの勝負で賭け事していたウマ娘が名乗りを上げ、カフェテリアの食事券を賭けた熱い戦いを繰り広げことになった。勝ったのはもちろんグラスだ。

「負けたか。やっぱり、あんたらは面白いな」

「「?」」

ニット帽のウマ娘の勝負後の評価曰く、俺たちは面白いらしい。でも、俺たちはこれからもっと面白くなるから待っていてくれ。

ブゥーーーーン

「あ、お昼ですね」

「だな。少しお腹空いたな。」

あんまり、表に出たくはないがお昼ご飯のためなら是非も及ばず。今日は学園祭だし、焼きそばがあるばすだ。それにしよう。

「グラスはお昼どうする?俺は焼きそばを買いに行くからグラスのお使い頼まれるぞ?」

「焼きそば…和とは違いますけどそれも日本の味。私も焼きそばが良いです」

「分かった。じゃあ、行ってくる。ここは騒がしいかもしれないが待っていてくれ。」

「駄目です。」

「へぁ?」

「私も行きますよ。トレーナーさんを一人にしておけませんから」


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